【浦野 椋平 さん】人の人生に寄り添うことができる作業療法士をめざして

PROFILE

健康科学部リハビリテーション学科作業療法学専攻/3年

浦野 椋平 さん

幼少期から医療職にあこがれを持ち、作業療法を学ぶ浦野さん。半田キャンパスのある亀崎地区の地域活動にも熱心に取り組んでいます。今回は、その活動のやりがいやめざす作業療法士像などについて、お話しいただきました。

人生に寄り添う作業療法士に魅力を感じて

原田学長 浦野さんは、どんなきっかけを通して『リハビリ』や『ふくし』に興味を持つようになりましたか。

浦野さん 幼少期から、人を助ける医療職系になんとなくあこがれをもっていました。大学進学にあたり、病気やケガを抱えている人の力になりたいと思い、リハビリテーションに興味をもつようになりました。また、高校で運動部指導を行うトレーナーの方のお話を聞く機会がありました。その方から「大学病院がないため、逆に実習先や進路が幅広さが魅力」と日本福祉大学を薦めていただきました。自分なりに調べると、多職種連携に力を入れていると知り、より興味が深まったためオープンキャンパスに行きました。半田キャンパスのオープンキャンパスに行った際、山中武彦教授・学部長による「頸椎損傷者のリハビリ」に関する模擬講義を聞き、興味を深めるように。この時には、実際の頸椎損傷者の方からのお話もあり、「この大学で学びたい」と思うようになりました。それまでは理学療法と作業療法の違い※があまり明確にわかっていなかったのですが、この講義によって、進路が決まりました。作業療法は、障害のある方がどうやってふつうのくらしを送ることができるのか、という人の人生に寄り添うことができるところに魅力を感じています。

理学療法士と作業療法士の違いについて
理学療法士:「座る」「立つ」などの基本的動作能力の回復を支援する
作業療法士:「食事」「入浴」「仕事・学習」などの応用的動作(生活行為)能力の回復を支援する

原田学長 私は大学卒業後、重度身体障害者療護施設でケアワーカーをしていたのですが、リハビリの重要性を感じていました。重度身体障害の方にとって、作業療法は本当に大事。作業療法のトレーニングによって生活がすごく変わってきますよね。

地域活動のやりがい

原田学長 浦野さんは、亀崎地区での交流活動に積極的に参加されていると山中学部長からお聞きしました。具体的にどんな活動をされていますか。

浦野さん 特に積極的に取り組んでいるのは、亀崎地区のお祭りのボランティアと車椅子ハンドボールの活動です。どちら活動も大学に入ってから取り組むようになったのですが、きっかけは山中先生の勧めでした。半田は元々お祭りの盛んな地域で、参加されている方が大きな声で楽しそうに活動している様子を見て、地域交流に興味を持ち始めました。私の出身は豊田市ですが、半田市民の方は日福生だとわかると優しく接してくださり、楽しみながら活動に参加しています。

原田学長 地域の方に受け入れていただくまでには難しい時もありますが、地域のメンバーとして接してもらえるととてもうれしいですよね。車椅子ハンドボールにはなぜ参加するようになったのですか。

浦野さん 昨年赴任された大西教授から車椅子ハンドボールサークルを立ち上げるというお話を聞き、参加させていただきました。創部2年目でまだ大会に出場することができていないのですが、いずれは出てみたいです。また、サークル活動の一環で、子ども向けの体験会の案内やインストラクターもしており、これにも楽しく取り組むことができています。

原田学長 幅広く地域活動に取り組まれている様子がとても伝わってきました。浦野さんによって活動のモチベーションはどんなところにあるのでしょうか。

浦野さん 高齢者の方と交流でき、地域の方の生きがいを微力ながら支えることができている、という実感がやりがいにつながっています。また地元のお祭りのボランティアに参加した際、昔の同級生と会うことができたりと、交友の広がりも感じています。

予防リハビリと社会活動で人生の選択肢を増やす

原田学長 サークルやボランティアで活動してきたことと、作業療法の学びで重なることはありますか。

浦野さん 重なるところがあるとすれば、予防リハビリだと思っています。予防は三段階に分かれていて、リハビリは三次予防の「病気やケガをした後にその症状をどうするか」というところに分類されます。また、地域での生活を知ることで、介入するべき範囲の検討やリハビリプログラムの策定、退院後の生活について考えることにも活かすことができると考えています。

原田学長 リハビリの全体像を体験的に学んでいくという意味では、地域の方とのかかわりはとても役に立つかもしれないのですね。本学で作業療法を学んでみて、よかったことがあれば教えてください。

浦野さん 作業療法学専攻の強みは、先生方がとても親身になってアドバイスをくださるところです。また、実際に障害のある方との交流機会が多く、就職してからの仕事のイメージを持つことができるところも強みだと思っています。

原田学長 ありがとうございます。最後に、将来の目標を教えてください。

浦野さん 私は、身体機能回復のサポートに止まらず、社会活動の支援もしていける作業療法士になりたいと思っています。山中学部長の模擬講義で登壇されていた頚椎損傷者の方が、英検取得にチャレンジしたり、カフェで働く姿に感銘を受けました。患者さんがある程度回復されたとき、車椅子ハンドボールを紹介し、人生の選択肢を増やす手助けができたらと思っています。

原田学長 浦野さんのお話は、患者さんのモチベーション維持や生きがい支援も視野にいれたとても重要なことだと感じました。これは本学が提げる『ふつうのくらしのしあわせ』にもつながっています。人に寄り添うリハビリを通して誰もが幸せに暮らせる社会を実現するため、これからも学びを深めていただきたいと思います。ありがとうございました。