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機関誌・出版物

ヒトとカワウ

 われわれが住む環境の適不適を判断する指標として、気温や湿度などの物理指標、排気ガスなどの化学指標とともに、生物指標がある。たとえば、桜の開花前線は、その年の冬から春先の気象状況を示し、魚類やヒルなど小動物の種類や数は、河川の汚染を把握するのに役立つ。鳥類もまた、地域の開発や農薬汚染などに大きく影響された。
 知多半島の《鵜の山》に住むカワウは、都市や工業地帯を流れる河川の魚を通じて、東海地区の環境汚染の監視に有用と考え、現地を訪れたのが1985年12月。当時、《鵜の山》にカワウを1羽も見ず、何故か?かくしてカワウの調査が始まった。

名古屋大学名誉教授
佐藤 孝二

ウの物語

 主人公の「ウ」は、漢字で書くと「鵜」です。
 分類上「ウ科」に属すると言いますから、どこまで行っても、「ウ」がついて回るようです。それもそのはず、「ウ」は日本人の生活の身近にいました。「鵜」の字のつく姓の方もおられます。また「ウのまねをするカラス」や「ウの目タカの目」などは私たちの日常でよく使われる表現です。 それほどに、ウはヒトに近しい存在だったのです。
 佐藤孝二先生の明晰で味のある文章がこの企画全体に希望を与えてくれました。おかげで、「ウ」の生態を通し、知多半島が豊かに見えてきます。

知多半島総合研究所所長
堀内 守