日本福祉大学は、2023年に創立70周年を迎えるにあたり、建学の精神に根差す本学の教育研究の現代的意義と、それを踏まえた世界のあり方を、改めて広く問う決意として、「Well-being for All」を宣言します。
学園創立者鈴木修学が釈尊の一偈である「如我等無異」※を精神的根源として日本福祉大学の前身、中部社会事業短期大学を1953年に開学して以降、日本福祉大学は常に福祉を軸とした教育研究と、それを基盤とした社会貢献事業の発展に努めてきました。
創立から70年を経過して世界を見渡した時、AIをはじめとする情報技術が大きく進展するとともに、医療·保健、初等教育など多くの指標での改善が見られる一方で、地球規模でのパンデミックや、武力行使を契機とした国際秩序の混迷、先進国を含む相対的貧困の拡大とそれに伴う機会の格差など、様々な困難に直面しています。また日本国内の少子高齢社会の到来に伴う問題は、遠からず多くの国々で対応が迫られる共通の課題です。
こうした時代において改めて新たな福祉社会を展望した際、自らの意思に基づき自由に将来を選択することができる個人のWell-beingと、誰もが健康で文化的な生活を送ることが保障されている全体のWell-beingが調和された社会は、我々が目指すべき世界のありようです。
そして、本学の教育標語である「万人の福祉のために、真実と慈愛と献身を」のもと本学が追究してきた教育研究は、これからの福祉社会のあり方と軌を一にします。
事業の推進にあたっては、学園全体の教育研究のさらなる発展を中核にしつつ、リカレント教育事業をはじめとする学園の諸事業と連携しながら、持続可能な福祉社会の実現や国際連携のあり方等、教育研究機関として果たすべき、世界の諸課題の解決に寄与する取組を進めます。
また学生や生徒を未来のWell-beingの実現主体として、それぞれのキャンパスが位置する地域の特性に沿って、まちづくりや地域開発に資する、実践的で探求的な学びを積極的に展開するとともに、事業の成果発信の機会を通じて、望ましい世界とWell-beingのありようについて広く議論を深めてまいります。
70周年記念事業の推進にあたり、引き続き本学へのご支援ご鞭撻を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
※如我等無異(我が如く等しくして異なること無からしめんと欲す)
法華経方便品第二の文。自分の目的は、自分と等しい境地に衆生を導くことにあるという釈尊の立てた誓願