出だしの「家にいると『ガタンゴトン』という音が聞こえてくる」の部分をはじめとして、「川にゆっくり広がっていく波紋」「『走れ走れ』と急がすような鳥のさえずり」「もう一つの『家』であるかのような温もり…」のように、情景が目の前に浮かんで来るようなイキイキとした表現が非常に魅力的な作品です。誰もが使うありきたりの表現ではなく、作者自身の言葉を使って表現している点も評価されました。日本のいろいろな場所にあるのどかな風景を駅という定点で描写する観察眼の鋭さと、そこで暮らしている作者の思いが具体的に伝わってくる点に魅力を感じて、最優秀賞に選びました。