36℃の言葉。あなたの体温を伝えてほしい。 2014年度 日本福祉大学
第12回 高校生福祉文化賞 エッセイコンテスト入賞作品集
学長メッセージ
審査員の評価と感想
入賞者発表
第1分野 人とのふれあい
第2分野 あなたにとって家族とは?
第3分野 わたしが暮らすまち
第4分野 社会のなかの「どうして?」
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入賞者発表
第4分野 社会のなかの「どうして?」
優秀賞 外仕事への偏見をなくすために
長野県下高井農林高等学校 三年 上倉 壮真

 外仕事は「汚れ仕事」といって見下すような人がいる。電車に乗り合わせたとき、外仕事の人を「汚い」と避けて近寄らないようにする人さえいる。でも、そう言う人たちが使っている建物や住んでいる家は、外仕事の職人たちの仕事でできている。彼らの仕事をもっと評価し、感謝すべきではないのか。外仕事の人は「乱暴な人」「平気で下品な言葉を使う人」というのも、偏見に過ぎない。
 私は鳶職になろうと思っている。周りには鳶の人はいない。誰も知り合いのいないところで一から頑張って、現場で仕事を覚え、腕を磨いて、立派な職人になりたい。将来自分で会社を立ち上げるのが、私の夢だ。自分の仕事で外仕事への偏見を見返してやりたいと思っている。私は、地元から県内、県内から県外、全国へと大きく活動を広げていきたい。
 建設現場では、鳶は立場が弱いとも言われるが、鳶が作る足場がなければ、他の職人も仕事ができず、現場が成り立たない。鳶は、決して弱い立場ではない。そのことも分かってもらいたい。
 職人業は、会社員などとは全然違う。体も使うが、仕事によっては複雑な計算も必要だ。そして、経験で身につけた勘が何よりも大切だ。一人前の職人になるには、最初は親方や先輩から怒鳴られたり、使い走りのようなことをさせられたりもするだろう。時と場合によっては、もっと大変なこともあるかもしれない。でも、そんないろいろな辛いことを乗り越えて、技術と勘を身につけていく。そして、やがては自分の身につけたものを生かして、誰にもできない仕事をし、社会に貢献していく。私はそれはとてもかっこいい生き方だと思う。
 私は鳶職を目指している。鳶や職人の仕事の大切さを理解してもらえるように、そして、かっこいい生き方ができるように、精一杯努力していきたい。

講評

 高校生の頃にはまだ、「自分は将来こうなりたい」という具体的な夢を持っていない人も多いと感じますが、そんな中で、「将来鳶職になろうと思っている」と胸を張って言う作者の気持ちに拍手を送ります。職業への偏見に臆することなく、「鳶職になりたいんだ!」という作者の熱い気持ちが読者にストレートに伝わってくる点を評価しました。気持ち良く、一気に読むことができました。作者が、これほどまでに強く鳶職を目指そうと決めたきっかけを知りたくなります。そのエピソードが具体的に書かれていると、さらに良い作品になったと思います。

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