36℃の言葉。あなたの体温を伝えてほしい。 2014年度 日本福祉大学
第12回 高校生福祉文化賞 エッセイコンテスト入賞作品集
学長メッセージ
審査員の評価と感想
入賞者発表
第1分野 人とのふれあい
第2分野 あなたにとって家族とは?
第3分野 わたしが暮らすまち
第4分野 社会のなかの「どうして?」
学校賞
 
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入賞者発表
第1分野  人とのふれあい
優秀賞 いくつになっても。
中央大学高等学校 二年 斎藤 れみい

 先月誕生日を迎えた、私の祖母。よくとんちんかんなことを言うし、考えられないくらいに大ざっぱな性格だ。そんな祖母だが、見習いたいところがある。それは、向上心だ。
 祖母は五年ちょっと前から、ピアノを始めてみたり、卓球を始めてみたりとたくさんのことに挑戦していた。そして最近、ボケないように、と言って、普通の携帯電話も使いこなせないのにスマートフォンに変えた。案の定、使い方がわからずに苦戦していて、電話をかけるので精一杯。メールの使い方を教えても、次に会いに行ったときにはもう忘れていた。「スマホの意味ないじゃん」と私は笑いながら言った。それが悔しかったのか、祖母はスマートフォンの使い方を習いに行き始めて、たまに私にメールを送ってくるようになった。最初は全部ひらがなで、誤字脱字がたくさんある笑ってしまうようなメールばかりだったが、最近ではきちんと漢字変換されて、さらに絵文字がついたメールが送られてくるようになった。私はその成長ぶりにとても驚いた。
 でもさらに驚いたのは、祖母が「漢字検定を受ける!」と言い出したことだ。私が漢字検定に受かったことを報告したら、対抗したかったのかそう言い出した。まさか口だけだろうと思ったら、しっかりテキストを買っていて、その隣にはびっしりと四字熟語が書かれたルーズリーフが何枚もあった。
 私はそんな祖母を尊敬する。いくつになっても挑戦する心を忘れない祖母は、とてもかっこ良いしとてもきらきらして見えた。正直自分は負けているなあと思った。その向上心とめげずに努力をする姿を、私も見習おうと思った。
 祖母いわく、「いつお迎えが来るかわからないから、今のうちにやっておかないと」だそうだ。そう言って毎年毎年、元気に生きているけれど。もしかしたらその向上心が、長生きの秘訣なのかもしれない。

講評

 ピアノを始めたり、卓球を始めたり、スマートフォンに変えたり、漢字検定を受けるといったチャレンジャーのおばあちゃんのキャラクターが微笑ましく、みずみずしさに溢れています。単なる「やさしいおばあちゃん」ではなく、作者が「一人の人間」として、素晴らしい生き方を尊敬している気持ちがよく伝わってきます。おじいちゃんやおばあちゃんを題材にした作品は数多くあったのですが、その中でも珠玉の作品だと思います。読み手の心の中にスッと入ってきて、読んで元気をもらえる作品であることが高く評価されました。

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