いつも大好きなわけではなく、喧嘩もするし、時々嫌だと思ってしまう「おじいちゃん」と「自分」の気持ちのつながりや感情の変化がよく描かれている作品です。仲が良い話は書きやすいですし、実際にそういう話が多いですが、そうではない話は書きにくいものです。それを、情感を込めて表現している点を評価しました。祖父との葛藤を書くだけにとどまらず、祖父のことが忘れられなくて福祉科に入学した自分の体験につながっていることも良いと思います。そして、最後の部分に作者とじいちゃんの心のつながりが感じられて、読後感の良い作品に仕上がっています。