私は高校一年生の時、一年間ニュージーランドに留学していた。幸い、すぐに向こうの環境に適応する事ができたが、日本での生活と大きく違いを感じたのは、ゴミの量だった。私は五人家族に猫が三匹、鶏が四羽いる家庭にホームステイをしていた。一週間に出るゴミの量は、大きなゴミ袋に一個程度。それに比べ、四人家族の私の家では、二日に一回のペースでマンション下の集積所にゴミ袋を出している。 私は今まで、日本は環境への意識が高い環境先進国だと思っていた。例えば、駅等の公共の場所では必ず細かな区分、カン、ペットボトル、紙くず、プラスチックの表示があるゴミ箱が置いてあり、私はそういったゴミ箱があるのを海外で目にしたことがなかったからだ。 しかし実際に海外で暮らしてみて、思い知った。日本の生活には「リサイクル」が大きく機能していたが、それより大切な「リデュース」「リユース」はどうだっただろうか。ステイ先の家では、使い捨ての容器など存在しなかった。日本から持って行った土産物の包み紙、箱、その中の箱まで、「何かに使えるね」という話をしていた。その上、それは経済的な背景からではなく、ただ「物を大切に扱う」という考えからの精神だった。 私はこの体験をふまえ、現代日本や世界で深刻化している環境問題の中からゴミ問題に注目し、友人五人で環境教育を推進する団体を立ち上げた。主な活動内容は、小学校で環境に関するワークショップを開き、日本の小学生に環境に対する意識を高めてもらおうという活動だ。今は大学受験をひかえ、本格的な活動開始は受験が終わってからになるが、「もったいない」という言葉が生まれた日本の国民として、今私達にできることを進めていきたいと思う。
日常のさりげない出来事を起点として、リサイクル・リデュース・リユースについて考え、日本と世界を比較しながら話を広げ、行動に移していく流れで、うまくまとまっています。「日常のなかでつながる世界」という第三分野のテーマにふさわしい作品と言えるでしょう。海外と日本を比較して感じたことや体験を行動に移した点も評価しました。環境教育を推進する団体の活動は受験後ということですが、この気持ちを忘れず、行動して欲しいと思います。その期待も込めて、優秀賞に選びました。