東日本大震災をテーマとした作品は、過去の作品も含めてたくさんありましたが、父親の仕事を通して描く視点が斬新でした。「夕食をガツガツ食べる」「お風呂に入ったらすぐに寝て」「泥だらけの汚い格好で帰ってきた」といった父親の様子が具体的に書かれている点がいいと思います。父親や兄の気持ちを理解できなかった前半と、東日本大震災の復興に父親が参加した中盤以降の対比がドラマチックに描かれており、震災の復興に泥だらけになってがんばる姿を見て、父親や自衛官の仕事に誇りを持つようになった気持ちの変化がよく伝わってきます。