昨年、ドイツの理工系、医学系の大学生の使節団が出雲の地を訪れ交流会をした。その時、私達は、出雲西高IAC(インターアクトクラブ)の環境問題の取り組みについて発表した。その意見交換のあと、ドイツの大学生達が話しかけてきた。 学生達は、このようなことを言った。「今回の研修会では、東京、大阪、京都などの視察をしたが、昨日来た、出雲が一番好きだ」と言ってくれた。そのあと「この地は、日本海、宍道湖、斐伊川という水に囲まれ、また山や森もあり、ロケーションとしては最高だ、素晴らしい所だ」と言い、「出雲という場所は、神が住む地ということで、何か神秘的なものを感じる」と言ってくれた。 私は西洋のドイツ人にこれほどのインパクトを与える出雲という土地に生まれ育ったことに誇りを感じた。現在、この出雲は、六十年に一度という出雲大社の遷宮があり、観光客も、たくさん訪れ、出雲大社は活気に満ちている。しかし、この神秘的な、神々が集う、出雲大社の神域である稲佐の浜に大きな異変が起きているのである。 それは、日本海岸に打ち寄せられる、韓国、北朝鮮、中国の大量のゴミである。私達IACは、この大量のゴミに対して、私達の町を守る覚悟で、多くの市民の方たちに呼びかけ海岸清掃を行った。この日本海側のゴミの清掃に毎年二千万円のお金が、かかるそうだ。 そこで私達は島根県庁の文化国際課へ行き韓国の高校生と交流会を行い、海岸清掃を共に行い大量のゴミの状況を知ってほしいと訴えた。そして、韓国の高校生達は、毎年来て反省し、韓国のマスコミにも連絡してくれるようになった。韓国では、テレビ、新聞の影響でキャンペーンが始まり、この一、二年ゴミの量は確実に減少してきている。私達の目標は少し達成した。次は赤川という汚い川をEM菌という有用菌できれいにするよう計画中である。私達の故郷を美化し、皆さんが誇りの持てる町づくりをしていきたい。
出雲に生まれ育った誇りを持って生活をしている作者の気持ちが、エッセイの随所から伝わってきます。そんな出雲を愛する気持ちと、ゴミの問題をうまくからめて書いています。頭の中だけで考えた意見を書くのではなく、ドイツの大学生との意見交換の様子や、韓国の高校生と交流会を行い、一緒に海岸清掃をした自分の体験を通して、等身大で書いている点を評価しました。