「まち」は無機質な存在ではなく、「人と人とのつながりである」ということを読者に伝えてくれるたいへん良くまとまったエッセイだと思います。日本人が大好きな「桜」を取り上げた作品は多いのですが、一般的な話になりがちです。ところが、この作品は「満開の桜」「桜並木」という言葉が効果的に使われていて、桜の美しい姿と、桜の下で笑顔が弾けている人たちの姿が描かれ、印象深い作品に仕上がっています。満開の桜の下に集まって、みんなが笑顔で一日を過ごした様子が想像でき、このまちにどんな人が暮らし、どんな人間関係ができているのかが文章から伝わってくるいい作品です。