2010年度 日本福祉大学 第8回 高校生福祉文化賞 エッセイコンテスト入賞作品集 36℃の言葉。あなたの体温を伝えてほしい。
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審査員の評価と感想
入賞者発表
第1分野 人とのふれあい
第2分野 あなたにとって家族とは?
第3分野 わたしが暮らすまち
第4分野 社会のなかの「どうして?」
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第3分野 わたしが暮らすまち
優秀賞 大阪のおばちゃんパワー
大阪府立市岡高等学校 3年 江本 有希

 大阪には、本当に色んなおばちゃんがいます。典型的すぎるやろ、とツッコミを入れたくなるような全身アニマル柄のおばちゃん、何故か白髪に紫色のメッシュを入れたおばちゃんに、目線が合っただけで、マシンガントークをかましてくるおばちゃん……。ただ、ステレオタイプを書き並べただけ、と思われるかもしれませんが、これが全員、会ったことのあるおばちゃん達なのです。こんな個性派揃いのおばちゃん達ですが、皆共通するのは、凄くフレンドリーだということです。
 以前、私が道に迷って、必死に携帯で地図を検索していたところに、私の携帯を覗き込んだおばちゃんが、「道わからんの?ほんなら、おばちゃんが教えたるわ!」と、張り切った声で言い、「この道をダーッと行って、あの角をガーッと曲がるんや。」といったような、八割方擬音語で構成された道案内をしてくれました。正直、その道案内はあまりよく理解できなかったのですが、満足した顔をして、餞別だという風に、私に「黒飴」を渡して、颯爽と去っていったおばちゃんを見ていると、思わず笑いがこぼれてしまいました。
 一見、ただのずうずうしい、お節介なおばちゃんなのですが、私はそこに、なんとも言い難い、「あたたかさ」を感じました。全然見ず知らずの人に、まるで親戚のように接してくれる、大阪のおばちゃん。その優しさや、元気な笑顔や声に、私まで元気を貰っているような気がしました。
 今の世の中では、近所の人との付き合いをする人が減ってきたり、あまり他人と関わらないようにする人が増えてきているようです。ですが、やはり人付き合いというのは、社会というものの根底にあるものだ、と私は思います。そんな中で、この、「大阪のおばちゃんパワー」というのは、とても大事なものかもしれません。私も、おばちゃん達のように、とまではいきませんが、「あたたかさ」を与えられるような人付き合いをしたいです。

講評

 第三分野の作品の中では、断然面白い作品でした。思わず声に出して読みたくなるようなユーモアにあふれ、大阪のおばちゃんたちの姿・カタチやしゃべっている様子が目の前に浮かんできます。そんな大阪のおばちゃんたちを誇らしげに書いていますから、楽しく読むことができます。ただ、作者が体験した出来事も含めて、一般的なイメージとは少し違った大阪のおばちゃんを描いていれば、さらに良くなったでしょう。自分が見たり、体験した違う切り口のエピソードが書かれていると、独自の切り口を持ったエッセイになったと思います。

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