わくわくどきどき。その出会いが待ち遠しかった。わざわざ東京から福山の私の学校に、二十五名も新幹線で会いに来てくださった。彼らは、東京のしょうがい者ワイフステーション(団体)。モットーは「どんなしょうがいがあってもずっと地域で共に生きよう」。私は学校のボランティア部に所属しているが、その活動に賛同してくださって、交流することになったのだ。 学校を紹介したり、いっしょに歌ったり踊ったり、人権問題の調査発表展示を説明したりして丸一日、楽しい交流ができた。そして私は、彼らから大切な視点や考え方を学ぶこともできた。 「トイレはどこですか」。ある車いすの女性が私に尋ねた。私は迷わず、車いす用トイレにご案内。しかし、彼女は、その車いす用トイレを拒んだ。 このトイレ。実は、男女兼用なのだ。しかも、男子トイレにある。彼女は、「男の人が入って来そうで嫌だ」と言って結局、普段私達が使う狭いトイレを使った。 そうだよ。何で、女子トイレではなく、男子トイレにあるの? それって、男尊女卑? いやいや、どうして車いす用トイレは、男性用と女性用の両方がないの? それって、しょうがい者を尊重している社会ではないよね。 あれ。他の施設のそれは、どうなんだろうか? それから私は、トイレのつくりを意識するようになった。そして・・・なんと、私の学校と同じタイプの車いす用トイレがたくさん目についた。 車いす用のトイレは、どこも広くて、段差もなく、手すりがあり、確かに使いやすいだろう。しかしそれは、行きやすいトイレとは限らない。機能的かつ車いす生活の人々の心と体と生きやすさを中心に考えられたものでなくてはならない。 「相手の立場で社会を見る」。トイレを通して、当事者の視線から学ぶことができた。でも、「立場を超えて、みんながずっと地域で共に生きられる」社会を作るために、まず、私自身が自ら、常に相手の立場を意識して視野を広げる努力をしなければ!!
社会福祉に関わる人たちの間では、こうしたトイレについての問題点はよく話題にされていますが、高校生の視点で感じた疑問を素直に提起した点を評価しました。出だしの部分にある東京の団体との交流の話を短くして、トイレの話を最初から書いた方が、読者に強いインパクトを与えることができたと思います。