職場体験で経験したり、感じたことを書いた作品が数多くありましたが、その中でバスを洗車する仕事という珍しい経験を取り上げたことが印象に残りました。そして、仕事の速さや合理性ばかりが重視される現代に、時間と手間がかかっても、お客様のために「一ヵ所でも汚れを残してはいかん」と言って打ち込む姿をしっかり受け止めて感動した作者の気持ちが素直に書かれている点が、さわやかな読後感につながっています。ただ、内容を少し整理して、「普段の生活の自分はどうだろう?」と問いかけてみたり、登場人物以外の大人もこうやって自分の仕事に責任を持って取り組んでいることに視野を広げて書くと、もっと良くなったと思います。