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「うちのばあちゃん」 |
岐阜県立飛騨神岡高等学校 三年 丸亀 悦子 |
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私の祖母は、今年満七十八歳。とっても元気だ。私はいつも「ばあちゃん」と呼んでいる。
ある日の晩ご飯の時、ばあちゃんが昼間の出来事を嬉しそうに話してくれた。
家の前の重い側溝のレバーを上げようと頑張っていたら、丁度通りかかった男子高校生三人が手伝ってくれたらしい。そして、その時の高校生がつけていた香水が何とも言えないいい香りがして、ときめいたそうだ。
それから少したって、ばあちゃんは強烈な香水をつけだした。家中に香りが広がった。家族は困った。
ある日、家に帰ったらばあちゃんが悲しそうな顔をしていた。大事な自転車が盗まれたらしい。田んぼや畑に行くとき乗る大事な自転車なので私もショックだった。
数日後、ばあちゃんが「自転車が見つかった」と大はしゃぎで言った。大事な自転車を見つけてくれたのは町の若い巡査さんだった。わざわざ家まで届けてもらったのだが、ばあちゃんは自転車のことよりも巡査さんのことをいっぱい説明してくれた。どうも、ばあちゃんのタイプだったみたいだ。
あれからもばあちゃんは自転車に鍵をかけていない。
私の家の近くに高校の寮がある。
夏が近くなると男子寮生が夕食の後、外で野球とかバスケットボールをして遊んでいる。
ばあちゃんは窓の前に座って団扇を使いながら眺めている。たまに寮生が上半身裸で遊んでいたりなんかすると、大喜びで私に報告に来る。そして一緒に見ないかと誘う。
ばあちゃんは高校生が大好きだ。だから、土曜日に寮が閉じられて寮生が家に帰ってしまうと寂しいと言っている。
ひそかに寮母さんの椅子をねらっているらしい。 |
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ユーモアがあって「こんなおばあちゃんっていいな」と思わせる文章です。具体的なエピソードが軽妙なタッチできちんと書かれてある点が、読む側にも期待感を与えてくれます。深い思索はありませんが、人に対する観察がしっかりできている点を評価しました。これで、おばあちゃんの名前が書いてあると、もっとリアルに伝わってくるのではないでしょうか。 |
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