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はじめてのふくし

「ふくし」の広がり

「ふくし」というと、「社会福祉」をイメージする人が少なくありません。社会福祉とは、「ふくし」を実現するための「社会の努力」「社会的な手だて」のことです。それは、自らの努力自助(じじょ)、助け合い努力共助(きょうじょ)、国や自治体がおこなう「安全と安心」を保障する仕組み公助(こうじょ)をさします。

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日本国憲法第25条には、「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と書かれています。
すべての人びとの、「いのち」「くらし」「いきがい」を保障していくことを宣言したのです。そのあとに続く文章には、「社会的な手だて」が示されています。自立して生活できるようにするための人の支え、お金や物の援助、健康にくらせる手助けをおこなう仕組み(制度)をととのえるということです。
そのため、国や自治体は、税金や保険料で、生活、病気、老後、介護(かいご)、障害などで困った場合の保障の仕組み(年金や医療などの制度)をととのえてきました。
今日、生活水準があがり、最低限度の生活の保障だけではなく、それぞれの人に合った質の高い生活(QOL=クォリティ・オブ・ライフ)が求められるようになりました。それにしたがって、社会福祉の分野は広がり、また、社会福祉をこえてさまざまな領域で「ふくし」の実現が考えられるようになりました。
社会福祉には、「〇〇福祉」とよぶ多くの分野があります。
[図1]の社会福祉という大きな円の中に書かれている分野がそれです。保健(健康)福祉は、こころとからだの健康な生活を支える福祉です。地域福祉は、ふだんの生活を地域で支え合う福祉の実現をめざすものです。児童福祉、障害者福祉、高齢者福祉、女性福祉などは、それぞれ子ども、障害者、高齢者、女性に対する福祉です。司法福祉は、法律で解決する問題も福祉的な援助が必要だということから生まれました。
さまざまな領域の「ふくし」は、[図1]の大きな円の外に示され、「福祉〇〇」とよばれることが多いようです。福祉経営は、社会に貢献する企業経営や利益を優先しない団体(NPO)の経営、福祉情報は人にやさしい情報技術や情報ネットワークを意味します。福祉機器の開発等に関わる福祉工学、心のケアを重視する福祉心理も注目されています。福祉産業、福祉ビジネスに加え、福祉観光といった領域も生まれています。

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最近は、ユニバーサルデザインという言葉がよく使われます。みんなのためになる計画、設計といった意味です。障害などハンディキャップのある人の便利さを考えたデザインは、そうでない人にとっても便利です。みんなが利用しやすく、安全で、環境に配慮した商品を開発し、安価で提供できるようにしなければなりません。障害者や高齢者が住みやすい生活や環境を考えることは、みんなの「ふくし」を広げることにもなるのです。こうした「ふくし」の広がりについては、この本を読み進むことでイメージが広がるのではないかと思います。また、巻末の日本福祉大学のガイドを見ていただくことで理解を深めていただけると思います。

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調べてみよう

○厚生労働省をはじめ、自分の住んでいる自治体のホームページから、年金や医療などの制度に関連する情報をさがし、現状について調べてみよう。
厚生労働省のアドレス
http://www.mhlw.go.jp/新規ウィンドで開きます

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