MENU

TOPICS

2022.09.27

【地域連携教育】備えあれば憂いなし。もしもの時の「防災・減災」を想像する

 「日本福祉大学が3キャンパスを構える知多半島は、愛知県南部に位置し、東西が海に面した半島地域です。たった今起こっても不思議ではないと言われる南海トラフ大地震では甚大な被害が予想されています。」これは、全学教育センター科目「ふくしフィールドワーク実践」(美浜クラス)の科目概要の導入部分です。

 2022年8月25日から27日にかけて、美浜町をフィールドに「地域特性を考慮した防災の学び -防災キャンプをツールとして-」をテーマにした集中講義が展開されました。この講義は、地域課題について多学部・多学年の学生が学びあう「多職種連携教育」の科目でもあります。

さまざまな学部の学生が集まって「上野間老人憩いの家」で行われた導入講義の様子

 担当教員の全学教育センター高村秀史助教は、導入講義で「みんな、大きな地震って怖いよね。でも地震が起こったときに、実際何がおこるのか、自分が何ができるのか考えておくことがとても重要。よく防災・減災は、『想像力』が大事っていわれているけど、この講義を通して、災害を自分事として考えられるようになって欲しい」と、講義のねらいを伝えました。

民生委員の廣澤さんの話を聴く学生

防災キャンプの体験する様子

 この後、学生は、美浜町で民生委員を務める廣澤さんから美浜町の防災や減災に関わる課題について話を伺いました。その中で、地域の自主防災活動を担う委員の方々の高齢化や担い手不足がおこっていること、また自治組織は女性や子どもが少なくそういった人の声を反映した対策が講じられにくい状況があることなど、たくさんの示唆をいただきました。このあと、学生らは、ビニール袋で炊飯したお米や防災食の試食や、キャンプ用テントを活用して避難所で授乳室などの個室空間を創ることを体験しました。午後は、焼杉板の家屋が立ち並ぶ上野間地区のフィールドワークをおこないました。

南知多ビーチランドでの災害時の避難誘導の説明をうける学生と担当教員

 2日目は、大学付近の多くの下宿生が住む奥田地区のフィールドワークを行いました。沿岸部において津波被害が想定されるこの地区には、商業施設の南知多ビーチランドがあります。フィールドワークでは、運営する株式会社名鉄インプレスの広報担当の奥田様から、園での防災訓練の実施や万が一の際の避難誘導のオペレーションについて話を伺い、学生たちは真剣にメモをとっていました。また、園の敷地はもともと塩田跡地だったという地域の歴史の話も聴くことができました。

3日目の報告会で学部を越えたグループでの提案を行う学生たち

  3日目は、美浜キャンパスの教室で、これまでの学びをグループの中で整理した上で、「美浜町と南知多ビーチランドへの「避難」に関する提案」と「福祉避難所」のどちらかについて、グループで提案をまとめて発表しました。あるグループは、観光客の視点に立って実際の避難経路を歩いてみたところ、予想以上に道幅が狭く壁などが倒れていたら通れないということに気づきました。そこで、複数想定されている推奨避難経路を絞り、目印となるマークを設置する提案を行いました。

 学生たちは、異なる学部のメンバーとグループワークをすることの新鮮さと難しさを感じながら、フィールドワークを通じて地域住民や観光客が被災した時を”想像”し、そして”共感”しながら報告会で提案する姿がとても印象的でした。

 担当する高村助教からは、「『自助』・『共助』・『公助』のうち、もちろん自分の身を守ることが最優先されるが、日頃から地域にどんな人が暮らしているか、どんな暮らしをしているかに関心をもつことで、実際に被災したときに災害を減らすことできたり、災害を防ぐことにつながる」と、地域に関心をもつことの意義が伝えられました。

 日本福祉大学は、「建学の精神」のもと「地域に根ざし、世界を目指す『ふくし』の総合大学」として、地域社会と時代が求める人材を養成しています。

関連リンク