【黒木 幸雄さん】日福での挑戦と夢への歩み

PROFILE

社会福祉学部 社会福祉学科 人間福祉専修/3年
パラスポサークルROAIS代表

黒木 幸雄さん

社会福祉学部で福祉科教員を目指しながらパラスポーツサークルを立ち上げるなど、ハンディキャップを抱えながらも精力的な活動を行っている黒木さん。日本福祉大学での学びや今後の目標についてお話を伺いました。

「日本福祉大学」との出会いと一人暮らしへの挑戦

原田学長 黒木さん、本日はよろしくお願いします。日本福祉大学に進学したきっかけを教えていただけますか。

黒木さん 小学校1年生から通っていた特別支援学校で支援機器相談会が開催されていました。そのときに現在の健康科学部福祉工学科の渡辺崇史先生に出会いました。それがきっかけで日本福祉大学を知ることになりました。今思えば、長年の日福ファンということになりますね。高校生のとき、将来の職業をテーマにした調べ学習があり、社会福祉にかかわる仕事を知りました。自分の気持ちや経験をもとに、困っている人に対して役立てることがあるかもしれないと考えました。そして、社会福祉を学ぶなら日本福祉大学だと考え、本格的に日本福祉大学への進学を目指しました。

原田学長 今は一人暮らしをしているのですか。

黒木さん 今年(2024年)の3月から美浜キャンパスのある美浜町で1人暮らしを始めました。

原田学長 一人暮らしを始めるにあたってハードルは高くありませんでしたか。

黒木さん とても高かったです。一人暮らしを始めるまでいろいろなことがありました。今まで一宮から1時間半程度かかっていて大変でしたが、将来を見据えたときにこの経験は大事かなと思い、チャレンジしました。実は、20歳から1人暮らしをするということをずっと前から決めていました。もちろん現在に至るまでにいろんな壁がありました。住む場所のこと、ヘルパーのこと、そもそも制度は使えるのかなど…。でもそんな壁も乗り越えることができ、目標通り3年生から一人暮らしを始めることができました。もちろん周りのサポートも受けながらですが、思い続けて行動を起こしたことが今に繋がっているんだなと感じています。

共生社会を目指したパラスポーツへの情熱

原田学長 普段はどのような学生生活を過ごしているのですか。

黒木さん 電動車椅子を使用して生活をしているため、サポート学生と一緒に外出したり、授業中はノートテイクやプリントに線を引いてもらうなどの支援をしてもらいながら学生生活を過ごしています。使用している電動車椅子は足のコントローラーで操作をしています。顔の前にあるのはスマートフォンです。授業中のメモや友人等とのコミュニケーションをとることに使っています。ノートテイクをしてもらったものは自分なりにまとめた上で課題に取り組んでいます。テスト前に必死に勉強することがほとんどですが…(笑)

原田学長 課外活動も活発に行っていると聞いたのですが、どのようなことをされているのですか。

黒木さん 自分がパラスポーツのボッチャを競技としてやっていることもあり、もっと広くパラスポーツについて知ってもらいたいという思いで『パラスポサークルROAIS(ロアイス)』というサークルを立ち上げ、現在は代表として活動しています。ROAISは『Realization Of An Inclusive Society=共生社会の実現』という意味の頭文字からとっており、共生社会の実現に向けて、パラスポーツを通じてさまざまな人との繋がりを持つことを目指しています。今は地域の障害者施設と一緒にパラスポーツの交流会を開催しています。今後はROAISを中心とした大会を開いて、いろいろな人がパラスポーツを楽しんで交流する機会をこの大学あるいはROAISを中心に行っていきたいと考えています。

原田学長 ボッチャは昔からやっていたのですか。

黒木さん 中学校3年生の時に全国ボッチャ選抜甲子園大会があり、友達に誘われて始めたのがきっかけです。今年(2024年)の1月に日本ボッチャ選手権大会があり、初めてベスト4の成果を残すことができました。

原田学長 それはすごいですね。

黒木さん これまで見ていただけの日本選手権に自分が出場できたというのもすごく嬉しかったですが、同時にとても悔しい気持ちになりました。次回は更なる結果を残したいと思っています!

原田学長 応援しています!ぜひ頑張ってください。

日本ボッチャ選手権大会で活躍する黒木さん

日福での学びと将来への夢

原田学長 大学入学後、自分自身の中で変化したことなどはありますか。

黒木さん 大学に入るまではすごく身構えていました。スポーツ推薦入試で入ったのですが、最初は反対されていました。一般入試で入らないと勉強もついていけなくなると言われていたこともあり、1年生の最初の頃は不安がいっぱいでした。しかし、学生生活を過ごしていくなかで、知識を身につけることと同じように自分の考えを論理的に相手に伝えるということも大切であると感じるようになってきました。

原田学長 現在の目標や将来の夢はありますか。

黒木さん 自分は「福祉」を伝えることができる仕事をしたいと思っています。元々教育現場に興味があったということもあり、教員を目指すことにしましたが、不安もありました。しかし、教職オリエンテーションの際「そこで学んだ経験は将来絶対にプラスになる」という小林先生のお話を聞いて、福祉科教員を目指す決意が固まりました。

原田学長 黒木さん自身が3年間過ごしてきて感じる、日本福祉大学の強みを教えていただけますか。

黒木さん 日福の学生はいろいろな人を“ふつう”に受け入れてくれるなって思います。自分みたいに障害がある人でも、かしこまった対応をされることもなく、“ふつう”の友達として接してくれる印象があります。当然、考え方のぶつかり合いで言い合いもします。それも含めて接してくれる学友がいることがこの大学の良さだと思っています。日福は講義だけじゃなく、サークルやボランティア活動も盛んです。全国から学びに来た友達とのかかわりから学ぶこともあります。そんな環境の中でさまざまな人と出会い、他ではできない経験によって学びを深めることができる。それが日本福祉大学の良さであり強みだと感じています。