【髙村秀史 講師】災害ボランティアセンターの活動と多様な経験の価値

PROFILE

全学教育センター 講師
災害ボランティアセンター センター長

髙村 秀史

令和6年1月1日に発生した能登半島地震に際し、学内では現地のニーズの把握に努めるとともに、災害ボランティアセンターが中心となって支援活動を実施しました。センター長を務める髙村先生に支援活動の様子や本学の災害ボランティアセンターが大切にしている想い、さらには髙村先生ご自身の経歴についてお話を伺いました。

災害支援の展開~令和6年能登半島地震~

原田学長 年が明けた元日に能登半島地震が発生し、新年が悲劇的な始まりとなりました。被災地支援において、日本福祉大学の災害ボランティアセンターが迅速に行動を開始したそうですが、その活動内容について教えていただけますか。

髙村先生 本学の災害ボランティアセンターは学内組織として位置付けられている為、学内での情報共有を行いながら現地のニーズを探る必要がありました。現地の方々から初期段階に必要な物資の情報を得て、それを「にっぷくセット」として組み立て、被災地に送り届けました。その後は、支援を行う側の心身のケアも考慮し、甘い食べ物や手の保湿クリームなどを含んだ別のセットを用意し、石川県を訪れて直接手渡しさせていただきました。また、学生から募金活動の要望も受け、学内での調整を経て実施いたしました。

原田学長 「にっぷくセット」について興味深い話がありました。支援物資と一緒に学生のメッセージも添えられているとお聞きしましたが、工夫されたことなどがあれば教えていただけますか。

髙村先生 支援物資は詰め合わせて送ると、後で仕分けが大変になることもあるため、被災地のニーズに合わせて送ることが大切です。ただ送るだけでなく、一緒に頑張ろうというメッセージを込めて送ることが重要だと考え、それを学生とともに実践しました。

にっぷくセット

災害ボランティアセンターの支援活動

原田学長 東日本大震災の際もそうでしたが、今後は長期間にわたる支援が必要とされるかと思います。今後の支援活動について本学の災害ボランティアセンターの構想があればお聞かせいただけますか。

髙村先生 最初の段階では物資の不足が深刻で、物資を提供することが主な活動でした。しかし、状況が落ち着いてくると、被災地のニーズは変化し、物資支援から人的支援へと移行していきます。学生や教職員が被災地の方々に寄り添い、行動とともに前向きなメッセージを送り続けることが大切だと考えています。

原田学長 そんな本学の災害ボランティアセンターが大切にしてきている想いについて教えていただけますか。

髙村先生 まだ私はセンター長になって日が浅いのですが、この組織は2011年の東日本大震災の際、当時の学生たちと教職員が一体となり、「何かできることはないか」という思いから生まれました。それから10年以上の歳月が経ちましたが、これまでの歴史や活動について私自身も学び、災害ボランティアセンターが大切にしてきた理念に感銘を受けています。私が素晴らしいと思うのは、単に物資を送ったり瓦礫を片付けたりするだけでなく、被災者の方々に寄り添い、福祉の心を持った学生たちが声をかけ、ともに悩み、笑い、支え合うことを大切にしてこられたということです。これが日本福祉大学の災害ボランティアセンターとしての支援の在り方だと考えています。

防災キャンプの取り組み

原田学長 先生自身は防災士の資格を取得されたり、防災キャンプという取り組みもされていると伺いました。防災キャンプについて詳しく教えていただけますか。

髙村先生 キャンプは自然の中で過ごすレクリエーションでありますが、アウトドア体験や⾃然体験活動などを通じ、災害発⽣時の避難所⽣活を疑似体験する取り組みが「防災キャンプ」です。文部科学省も学校教育の一環として地域や大人たちとともに防災について学ぶ活動を推進しています。防災キャンプというと子どもが対象のイメージがありますが、私はシニアや保護者世代、若者にも災害時の心得やQOL向上のための知識を提供することを目的として、防災キャンプを実施しています。

原田学長 先生自身がこの取り組みに関心を持ったきっかけは何ですか。

髙村先生 実は、高校時代にはライフセーバーベーシックの資格を取得し、その後大学を卒業してから高校の体育教員として働いていました。その際に赤十字の救急法救急員の資格も取得しました。“人を助ける”ということは私自身が生きていく上で大切にしたい価値観でした。本学に赴任した当初は、キャンプを防災に活かす考えはありませんでしたが、学内の防災訓練に参加する学生たちが義務感で取り組んでいる姿を目にした際、自らの経験や専門知識を活かして、防災とキャンプを結びつけ、一般の人々にも関心を持ってもらえるような防災活動を促進することを志すようになったことがきっかけです。

防災キャンプの様子

多様な経験の価値

原田学長 全学教育センターの教員として、学生を観察していて、先生自身が本学の学生の長所や、学生の成長にさらなる余地があると感じることはありますか。

髙村先生 自分の若い頃と比較しても、本学の学生たちはやりたいことが明確であると感じています。例えば、社会福祉の資格を取りたいとか、先生になりたいといった自分の将来の目標を持っている人がたくさんいるなと感じます。私の場合、大学は挫折の連続でした。思い描いていた進路に進めなかったり、途中で方向転換して体育の分野に転向したりなど、将来のビジョンが見えないまま大学生活を過ごしました。日本福祉大学には、将来を見据えて入学してくる学生ももちろんいますが、実はそうでない学生もたくさんいます。「大学でぼんやりしていてもいいのかな」といった疑問や、「大学進学の意義はあるのかな」というような不安を抱いている学生からの相談を受けることもあります。私自身、これまでに様々な分野に興味や関心を持ち、高校の教師やトレーナーを経験し、現在は大学の教員やボランティアセンターの責任者を務めています。これまで培ってきた様々な経験が、今の立場につながっていると感じます。もちろん、将来の夢を持つ学生は、その夢に向かって頑張ってほしいですし、途中で挫折しても、同じ道を目指す仲間がいることを理解し、互いに支え合いながら頑張ってほしいと思います。もし、自分が何をすべきか分からない場合でも全く問題ありません。むしろ、それは当たり前のことであり、とにかく様々なことに挑戦してみることが大切です。うまくいかないこともあるかもしれませんが、その経験が何かに繋がることを信じています。