学園創立70周年記念 第20回日本福祉大学夏季大学院公開ゼミナール
激動の時代に挑戦する地域
―地域との協働型研究の可能性―

夏季大学院公開ゼミナールは今年20回目を迎えます。節目となるこの時期に、日本福祉大学が設置している二つの研究センターからこれまでの研究成果をとりまとめた書籍が刊行されました。一冊は、福祉政策評価センターと権利擁護研究センターの研究成果を総合した『地域福祉マネジメントと評価的思考―重層的支援体制整備の方法』(著者 平野隆之教授、有斐閣、2023年11月刊行)です。もう一冊は、地域ケア研究推進センターによる『「0から100歳の地域包括ケア」への挑戦―大学と地域の協働研究―』(地域ケア研究推進センター編、大学図書出版、2024年3月刊行)です。

平野教授は著書の中で、研究の方法を「評価活動の応用実験」と説明されています。また、地域ケア研究推進センターの著書のタイトルには「大学と地域の協働研究」という表現が用いられています。それぞれに研究テーマや内容は異なりますが、共通して自治体や地域と共同してあるべきかたちを創造しようとする取り組みであるといえます。

近年、少子高齢化と人口減少の同時進行に加え、covid-19の長期化、単身高齢者世帯の増加、能登半島地震をはじめとする自然災害の多発など、人々の生活を脅かす様々な出来事が発生しています。そのような激動の最中にあって、社会福祉研究にはこれからの社会をどのように設計するかが問われています。20回目を迎えた夏季大学院公開ゼミナールでは、二つの研究センターの研究成果をもとに協働型研究の方法と可能性を考えます。

日時
2024年
727日(土)
10:00~16:30(9:30受付開始)
728日(日)
10:00~15:30(9:30受付開始)
会場
日本福祉大学名古屋キャンパス (名古屋市中区千代田5-22-35)
(一部の企画を除きオンライン会議システムZoom との併用)
主催
日本福祉大学福祉社会開発研究所
後援
日本福祉大学同窓会

7月27日(土)10:00~16:30 ※午前・午後ともオンラインでの参加が可能です。

開講式 10:00~10:10

基調講演 10:10~12:10

「『地域福祉マネジメントと評価的思考-重層的支援体制整備の方法』を語る」

 『地域福祉マネジメントと評価的思考-重層的支援体制整備の方法』を、2023年11月に出版しました。今回のセミナーでは、その著書をめぐる成果等を、いくつかの角度から、お話したいと思います。
 同書は、『地域福祉推進の理論と方法』(2008)、『地域福祉マネジメント-地域福祉と包括的支援体制』(2020)に続く、有斐閣からの3冊目の地域福祉に関する単著に当たります。いずれも、自治体における地域福祉行政(メゾ)とそれを取り巻く国の政策環境(マクロ)との関係を、ミクロの実践を踏まえながら描いたものです。前著(2020)刊行後の3年で300頁あまりの新著が必要となった背景には、「重層的支援体制整備事業」が、現場自治体の「包括的な支援体制の整備」(社会福祉法の2017年改正)に大きな変化や改革を与えたことがありました。同書は、その変化に果敢に挑んだ8つの自治体との共同実験(評価活動)の成果です。
 2020年の社会福祉法改正によって登場した重層的支援体制整備事業(第106条の4)は、相談支援・参加支援・地域づくり支援の一体的推進や、既存プログラムと新規プログラムの融合、さらには補助金の交付金化による財源使途の制度横断的な運用の導入など、これまでの制度運用にみられない大胆な改革を、手挙げをした自治体に求めたのです。しかも、地域づくり支援は福祉分野を超える範囲を含み、政策目標として提示されている地域共生社会の実現における重要な領域拡張を担っています。この大胆な改革への試行錯誤をマネジメントするための方法として、同書では「評価的思考」を位置づけました。地域福祉マネジメントに求められる「評価的思考」とは、を入り口にこれまでの地域福祉研究の経緯と今後を語りたいと思います。

平野 隆之(日本福祉大学大学院 特任教授、福祉政策評価センター長、権利擁護研究センター長)

シンポジウム 13:00~15:30

「身寄りのない単身高齢者の人生の最終段階にどう向き合うか」

 日本は「家族依存型福祉国家」と言われるように、これまで家族が大きな役割を果たしてきました。しかし、単身世帯の増加など家族形態が大きく変化し、身寄りのない高齢者が増えています。
 身寄りのない高齢者は、頼れる家族・親族がいないので、従来家族が担ってきた支援をいかに確保するかが課題になっています。具体的には、人生の最終段階に必要となる、通院同行などの「日常生活支援」、入院や介護施設への入所の際の「身元保証」、本人が死亡した後の納骨や家財処分などの「死後対応」が課題になっています。
 本学のライフエンディング支援研究会は、2018年から権利擁護支援センター、自治体、社会福祉協議会、地域包括支援センターなどと一緒になって、知多半島における身寄り問題を考えてきました。その提言は、2020年度~2024年度の「第1期知多地域成年後見制度利用促進計画」に盛り込まれ、現在、さらなる展開を考えているところです。
 本講演では、身寄り問題の背景や課題、国の政策動向を見た上で、知多半島で検討している取組みをご紹介します。 そして、シンポジウムでは、これまで一緒に研究をしてきた知多半島の権利擁護支援センターや自治体の皆様と、身寄りのない高齢者への支援のあり方や今後の地域づくりについて考えていきたいと思います。

講演

講師 藤森 克彦 (日本福祉大学 福祉経営学部 教授)

シンポジウム

シンポジスト 金森 大席 (NPO法人 知多地域権利擁護支援センター 事務局長)
井上 綾 (東海市 市民福祉部 社会福祉課)
コーディネーター 藤森 克彦 (日本福祉大学 福祉経営学部 教授)

総括討論 15:40~16:30

「多様な人々・組織と共に進める協働型研究
- 研究センターによる社会的課題へのアプローチ -」

コーディネーター 川島 ゆり子 (日本福祉大学 社会福祉学部 教授、地域ケア研究推進センター長)
吉村 輝彦 (日本福祉大学 日本福祉大学 国際学部 教授、アジア福祉社会開発研究センター長、 まちづくり研究センター副センター長)

7月28日(日)10:00~15:30 *分科会により、定員・オンライン参加の可否が異なります。

※分科会のCはオンライン参加可、A・Bはオンライン参加不可です。

A分科会

定員30名(対面参加のみ)

「研究計画の立て方(入門編)」

 第20回の節目を迎える本セミナーにおいて、初めて設置される分科会です。
 本分科会は、研究計画の立て方についての基本的な知識を提供するにとどまらず、自身の研究計画書の作成もしくは見直し・ブラッシュアップに取組んでいただきます。また、各自の問題意識からスタートしたうえで、参加者同士で学び合い、政策立案や現場改革等の実践に貢献できる研究へと磨き上げていただく場を提供することを目的としています。
 研究計画をブラッシュアップしたい大学院生の方、また、大学院に進学して研究に取り組みたいと予定されている方を主な対象とします。ただし、自身の取組んでいる/取組みたい研究のテーマやその背景にある問題意識(問)について、書くこと、語ること、伝えることができる方の参加を歓迎します。
 分科会の流れは、「研究計画の立て方の基本的な講義⇒参加者による自身の研究計画書の作成/見直し・ブラッシュアップの作業(ワークショップⅠ)⇒本学大学院修士課程を修了された方2名による研究計画書を有効活用して研究成果に結びつけた事例報告⇒研究計画交流のグループワーク(ワークショップⅡ)⇒全員での振り返りと今後の取組課題の確認」を予定しています。
 なお、定員は30名、参加は対面のみとなります。

進行・講師 後藤 澄江 (日本福祉大学 客員教授、福祉社会開発研究所 研究フェロー)
事例報告者 角 朋之 (日本福祉大学 実務家教員)
事例報告者  井上 務 (日本福祉大学大学院 福祉社会開発研究科 博士課程)

B分科会

定員30名(対面参加のみ)

「「質的研究で当事者の変化や歩みのプロセスを理解する
-複線径路・等至性アプローチ(TEA)を学ぶ-」

 日本福祉大学質的研究会は、例年、「質的研究事始め」、「夏季大学院公開ゼミナール分科会」「継続研修会」の3つの研修を通じて、研究に挑む人たちが質的研究法を適正に行えるよう研修会を行ってきています。5月の「事始め」は、質的研究の基礎の学習とインタビューの演習を行い、この分科会では、質的データの分析に関する体験学習を行います。また、11月24日(日)、12月22日(日)の2日間の日程の「継続研修会」では、教材データを用いて分析及び結果のまとめ方(図解化、ストーリーラインの作成)の演習を行い、皆さんが、質的研究法を自分の研究に活用できることを目指します。
 今年度は「複線径路・等至性アプローチ」を取り上げます。この方法は、例えば、「ギャンブル依存症者が当事者会への参加に至るプロセス」など、特定の属性の人(たち)が特定のゴールに到達する多様なプロセスを、影響をした様々な要因とともに体系的に描くものです。当事者の変化や歩みを明らかにし、また、価値等の変遷を実感できる方法であり、福祉をはじめ看護、保健医療等、幅広い領域の研究で用いられています。現場で直面する実践課題について、展開や局面に即した支援を検討する強力なアイテムを手に入れられることになるでしょう。 実際の「分析」については本分科会から取り上げますので、「事始め」への参加のなかった方も歓迎します。 なお、定員は30名、参加は、対面のみとなります。

講師 坂野 剛崇 (大阪経済大学 人間科学部 教授)
  塩満 卓 (佛教大学 社会福祉学部 教授)
  田中 千枝子 (日本福祉大学 客員教授、福祉社会開発研究所 研究フェロー)
コーディネーター 鈴木 俊文 (静岡県立大学 短期大学部 教授)

Ⅽ分科会

定員 対面:15名/オンライン参加:可(定員30名)

「量的研究法を学ぶ;多変量解析を「使う」」

 統計解析のエッセンスは度数分布とクロス集計に詰まっていることは間違いありません。しかし、よほど特異なデータでない限り、そうした記述統計量だけでは原著論文として掲載されにくいのが現実です。それらは調査で得られた情報の一部しか扱えておらず、誤った結論に至るリスクもあるからです。このため、多くの原著論文では多変量解析を採用しています。本分科会では、統計学上のアルゴリズムはさておき、多変量解析を「使える」ようになることを目指します。原著論文で採用されている結果表を題材にしながら、多変量解析の入門として、ロジスティック回帰分析、ポアソン回帰分析、重回帰分析を取り上げます。演習では、統計ソフトとしてSPSSないしSTATAを使用します。データについては教育目的用のものを準備しますが、各自で収集された独自データを使って頂いても結構です。教室の都合上、本学名古屋キャンパスでの対面参加者は15名までとさせて頂きます(統計ソフトをお持ちの方でしたらZoomでのご参加も可能です)。多変量解析というと難しいイメージもあろうかと思いますが、「使う」という意味では目的は極めてシンプルですし、操作も簡単です。現場で計量的な調査を予定されている方やデータ解析の部分で躓きを感じておられる方など多くのご参加をお待ちしております。

※C分科会にオンライン参加される方は、ご自身のPCに統計ソフト(SPSSまたはSTATA)がインストールされていることが参加条件となります。

講師 斉藤 雅茂 (日本福祉大学 社会福祉学部 教授、健康社会研究センター長)
  福定 正城 (日本福祉大学 健康社会研究センター 主任研究員)

ご参加について

参加料金 ※対面参加・オンライン参加ともに同料金

4,500 円
(1日のみ参加の方は3,000 円)

*本学の院生・学生(現在、在校生の方)は2,500円(1日のみ参加の方も2,500円)

申し込み方法

ご希望の申込フォームからお申し込みください。
※参加をご希望される分科会ごとに申込フォームが異なります。

なお、対面での参加をご希望される方は、先着順となりますので対面参加をご希望いただいても、オンラインでの参加をお願いすることがございます。

申し込み締切 ※参加人数に定員のある企画では、定員に達し次第締切となります。

2024年7月12日(金)

入金期限

2024年7月19日(金)   ※詳細は申込のあった方に通知します

個人情報の取り扱いについて

個人情報は、本ゼミナールの運営および本学が実施する各種講座などの案内に利用させていただくことがあります。その他の目的には一切使用いたしません。

問い合わせ先

日本福祉大学研究課
(夏季大学院公開ゼミナール事務局)

Email: kakidai_entry@ml.n-fukushi.ac.jp
(お問い合わせは上記メールアドレスまで)
〒460-0012 愛知県名古屋市中区千代田5-22-35