【パリでの食べ物―つつましいフランス人の食卓】
さて, パリといえばフランス料理のご馳走ばかりと思いきや, 彼らはかなりつつましい生活を
しています. 日本でいう, フランス料理というのは, ものすごく高いお金を払って食べに行く場所に出てくる料理と
いう感覚です. 日常的に, 食べるものは, パン (バゲット, サンドイッチやパニーニ), チーズ, パスタや肉
(特に, 代表的なのはハンバーグのようなステーキアッシエや生肉のステーキタッター (牛 100%)) とワイン.
ワインの種類と安いのには, 本当に驚かされます!美味しいワインでも約 10ユーロ(1500 円) だせばかなり贅沢な
飲み物なのです. 普段, 家で友達とのパーティーで飲むワインの値段は 4ユーロ位です. 昼食時にも, 学生でも時には,
ワインを一杯程度飲むというように, ワインを飲む習慣はいたるところにあります. また, シードルというりんごの
お酒 (微炭酸) は本当に美味しくガレットというそば粉で作ったクレープ (チーズやハムや煮込んだ野菜を
挟んだ食事のようなものとチョコレートや蜂蜜やアイスクリームなどを挟んだデザートがある) と一緒に食べる
のが一般的な食べ方です. シードルとガレットは, ブルターニュー地方の代表的な食べ物です. パンは,
本当に美味しいので, フランスに行く機会があったら, 是非ブロンジョリーに並んでバゲットを買ってください.
仕事帰りに店に寄って, まだ温かいバゲットを買い, かじり始めるとコレがとまりません. 半分以上
食べてしまいます. ちょっと塩味がきいていて, 外はカリっとしていて中はしっとりしているのです.
家では, バゲットに, いろいろなチーズを塗り付けて食べます. チーズは牛, 羊, ヤギなどの生乳からできていて,
製法や作られた地方で名前が変ってきます. 例えば, 日本で知られているカマンベールは基本的にはノルマンディー
地方で出来る, ある特定の製法で作られたチーズのみをカマンベールと呼びます. したがって, 本来は,
日本で作ったものでカマンベールという種類のチーズはありえないのです. このように, フランスでは,
食材の製法や作られた地域や製造法が定義され, 厳しく規制されています. 食事には, 同じ地方で生産された
食べ物と飲み物を選ぶのです. 例えば, ガレットはシードルと一緒に食すというのが, 一般的です.
アメリカでよく見られる, 寿司を食べてコカコーラを飲むという光景は, 普通, フランスでは考えられない
出来事となります. フランスの人にとっては, 食材の組み合わせはどんな内容の食事をしている時も大変重要
な点となります. 日本の食事のように, 肉と魚を一回の食事で, 同時に食べるというのは, フランス人に
とっては, 本当におかしい食べ方と感じるようなのです.

プロバンスの食事
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【パリでの食べ物―つつましいフランス人の食卓】
パリでは, いろいろな催しが開かれます. 夏の終わりの時期にかけては, 様々なイベントが開催されます.
それは, 芸術際や, ニュイブロンシュ (nuit bronche) や, 野外での映画です.パリのあらゆるところで, 音楽や映画や催し物を無料で愉しめます.
ニュイブロンシュでは, 夜中を通して,歴史的建造物がライトアップされ, 様々なスポットで芸術家たちが個性溢れる作品を披露しています. 去年,
私は, 開放されたプールでロックの生演奏をしているところがあり, 友達と夜 7 時に入館し, 音楽を背に泳ぎ,遊びながら 2 時間ほど費やしました. その後,
アートを見て回ったり, コミカルなサーカスを見たり, 美術館に寄ったりして朝まで楽しみました. パリには, このようなイベントはあらゆる時にあり,
皆が芸術を近くで楽しめるように工夫されています. またパリ市では, 毎月の第一日曜日はルーブル, オルセーなど公共の美術館は無料で入館鑑賞できるサービスを提供しています.
【社会的な出来事―雇用対策抗議で大学も封鎖】
私がパリに住んでいる時には, 2 つの大きな出来事がありました. ひとつは, サルコジ内相の人種差別発言を発端とするボンリュー
(郊外) での車の襲撃事件とドュビイルパン首相の若者の雇用対策の問題です.始めの人種差別発現から始まった車の放火事件は, パリ市内にいた私にはほとんど遠い世界のような話で,
テレビの無かった私がこの事件を知ったのは, 日本からのメールや電話によってでした.
雇用対策の抗議活動は, さすがに私の周りにも影響が及びました. ある日, 私が大学に行くと, 正門は椅子や机が置かれ鉄の鎖が門にぐるぐる巻きになっていて入れない状態になっているのです.
何が起こったかわからず, 人々が 進んでいる流れに沿って, 裏道を渡って横の小さい入り口門から入ろうとしましたが, 大学のあらゆる門では,抗議を起こしている学生たちが立ちふさがり,
一般の学生や大学職員は大学に入れないようにしていました.私はちょうど正門で会った友達が助けてくれて何が起こっているのかという事情が理解でき, 何とか問題なく
研究室に行く事ができました. しかし, この抗議行動は, だんだんと激しくなり, 最終的には大学には誰も入れないようになりました. さらに, 本格的に行動が激化したのは,
私が日本に帰国した直後で,
この時には労働団体も加わり, パリだけでなく, 全国に運動が広まってあらゆる人たちが一体になって抗議を行なうという状態になっていました. 最終的には, ドュビイルパン首相がこの法案を撤回したことで,
抗議はおさまりました. このようなフランスで見られる市民の抗議行動は, わりと頻繁に起こります.
高校生が政府の学校政策の問題に対しても同様な活動を起こしていました. このことからも解るように,
フランス人は, 政治に関しては非常に興味をもって参加をします. フランス人は, 老若問わず, 日常の会話で
政府や政策に対し, 激論を交わします. 学生たちは, きちんと政治の政策を知っていて, それに対しての自分の意見を持っています. したがって, 市民の意見は比較的,
政治の政策に影響を与えることが出来ると言えます.
彼らは, 自分がその国の一員であるという意識が高いような気がします. これは共和国という国の体制がそうさせているのかもしれません.
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