2.方法の共通項目

2.1 ポインティングデバイスとPC

ポインティングデバイスとしては,標準的なマウス3 種類,ノートパソコンに装備されているデバイス2 種類,障害者用に開発されたデバイス5 種類の計10 種類を用いた.以下にそれぞれの簡単な説明と今回使用したPC の機種を記す.なお,障害者実験で使用したのは以下の(6)‐ (10)の5 種類である.
(1)マウス1 (以下,「丸型マウス」と記す):アップル社のPC に1999 年時点で標準添付されている丸型の1 ボタンマウスで,マウスを手のひらに包み込むように持つのではなく,親指と中指で両側面をつまむようにして持ち,人さし指でボタンを押すように設計されている.USB コネクタ仕様.実験ではアップル社のPC (iMac Rev C)にて使用.使い心地は良いが,その形状が真円に近いため正面方向を認識し難く,誤って持ってしまうとマウスの移動方向とポインターの移動方向がずれてしまうという欠点を持つことが知られている.
(2)マウス2 (以下,「マウス2 」と記す):サードパーティ製のADB 用丸型マウス代替デバイス.iMac にて使用.
(3)マウス3 (以下,単に「マウス」と記載):IBM PC /AT clone マシン用の標準2 ボタンマウス.PS2 コネクタ用.部品により組み立てたIBM PC /AT clone マシンにて使用.
(4)トラックポイント:ノートパソコンのキーボードの間にある小型のスティックとクリックボタンをあわせたデバイス.ThinkPad (IBM製)に搭載のものを使用.
(5)トラックパッド:最近のノートパソコンに一般的に使用されている,指をこする位置でポインターの位置を動かすデバイス.今回はPowerBook 3400 (Apple 製)に搭載のものを使用.
(6)障害者用ジョイスティック1 (以下,「P &Gジョイスティック」と記す):マウス操作をジョイスティックやボタン操作でエミュレートするポインティングデバイス.ペニー&ギルズ社製.ポインタの移動速度が調節可能,



クリックボタンを押し続けた状態を保持するドラッグボタンや,クリックボタン,ダブルクリックボタンがある.スティックをどの方向へ倒してもポインタは上下,または左右にしか移動しない設定も可能.またボタン類にはガードも付属している.今回使用したのはMacintosh ADB コネクタに対応したバージョン.Macintosh 7600 (Apple 社)にて使用.
(7)障害者用トラックボール(以下,「P &G トラックボール」と記す):マウス操作をトラックボールとボタン操作でエミュレートするポインティングデバイス.ペニー&ギルズ社製.その他の機能はP &G ジョイスティックと同じ.
(8)障害者用4 ボタンスイッチ(以下,「らくらく4 ボタン」と記す):らくらくマウス・4ボタン(ONE ・STEP 企画:DVPS20116).らくらくマウス3 機種(4 ボタン,8 ボタン,ジョイスティック)のうちの一つ.らくらくマウス・は,名称はマウスだが,装置は移動せずボタンスイッチやジョイスティックでカーソルを動かすマウス代替デバイス.障害者が障害者用に開発したデバイスである.ポインター移動のほか,クリック・ダブルクリック・ドラッグのボタンが別にある.またポインター移動の速さの調節も可能.ボタンの位置を変える等のオーダーメードもできる.4 点ボタンは,ポインターの上下左右への移動に対応しており,斜め方向に動かしたい場合は,隣り合う2 つのボタンを同時に押す.今回使用したのはIBM PC /AT clonePS2 コネクタ用.部品により組み立てたIBM PC /AT clone マシンにて使用.
(9)障害者用8 ボタンスイッチ(以下,「らくらく8 ボタン」と記す):らくらくマウス・8ボタン(ONE ・STEP 企画:DVPS20117).8 つのボタンスイッチにより上下左右・斜めにポインターを移動させる.その他の機能は「らくらく4 ボタン」と同じ.
(10)障害者用ジョイスティック2 (以下,「らくらくジョイスティック」と記す):らくらくマウスジョイスティック(ONE ・STEP 企画:DVPS 20118).ジョイスティックによりポインターを移動させる.その他の機能は「らくらく4 ボタン」と同じ.
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