36℃の言葉。あなたの体温を伝えてほしい。 2018年度 日本福祉大学
第16回 高校生福祉文化賞 エッセイコンテスト入賞作品集
学長メッセージ
審査員の評価と感想
入賞者発表
第1分野 ひと・まち・暮らしのなかで
第2分野 スポーツと わたし
第3分野 日常のなかで つながる世界
第4分野 社会のなかの「どうして?」
学校賞
 
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入賞者発表
第2分野 スポーツと わたし
最優秀賞 馬が与えてくれる幸せ
横浜雙葉高等学校 2年 庵原 真季

 馬にまたがった障がいのある子どもたちは太陽にも負けぬ笑顔でレクリエーションを楽しんでいた。馬が障がい者に与えるパワーを肌で感じる体験だった。
 私は馬術と出会ってから一一年になる。物心ついた時から馬と過ごす時間がとても好きで、辛い時も馬に癒されることで乗り越えてきた気がする。スポーツとして楽しめるだけでなく、馬の与えてくれる癒しを同時に味わうことができる馬術はとても魅力的だ。
 馬術は障がいを持つ人にも門戸が開かれている。もともとはレクリエーションとして始められ、今ではパラ馬術として競技になっている。私がパラ馬術に興味を持つきっかけとなったのは、同じ馬術の教室に通う中で出会った障がいのある男の子の存在だった。彼は脳性麻痺と診断され歩行が困難と医師に宣告されていたが、紹介されたパラ馬術により歩けるようにまでなったのである。さらに、彼は私たち健常者と共に練習し、昨年日本で初めて開催されたパラ馬術の国際大会で優勝した。私は彼の活躍を嬉しく思うと同時にパラ馬術が障がい者に与える影響に興味を持った。
 実際に文献を読んだり、パラ馬術を手伝うボランティアに参加したりする中で、それが身体的な効果だけでなく、精神的にも効果を与えることがわかった。馬と心を通わせること、馬の扶助に集中することで、馬に乗り終わった障がいのある子どもたちには多くの笑顔を見ることができる。
 日本では、パラ馬術をできる環境が少ない。また、医療・リハビリ行為として日本で認められていないパラ馬術は普及していないのが現状である。一方、馬術先進国であるドイツでは、医療行為として認められている。
 「療法」で利用した人が競技者にもなれるパラ馬術。理想は、健常者と障がい者が同じ馬場で同じ競技ができることだ。スポーツを通して味わう幸せを障がいの有無にかかわらず共有できる日が一日でも早く来てほしい。

講評

 スポーツの中でもあまりポピュラーではない「馬術」と「障がい者」をテーマにした作品は、これまでなかったため新鮮な気持ちで読むことができました。子どもたちが障がいと闘いながらも前向きに練習に取り組み、馬に乗ることで明るい気持ちになっていく様子が丁寧に書かれていて、馬術の魅力をしっかり伝えています。
 スポーツを楽しむ話だけにとどまらず、「パラ馬術ができる環境が少ない」という社会に対する問題提起もきちんと書いてあり、社会性も感じられました。

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