「島差別っちあるっちど」(島差別があるってよ)この言葉を聞いたのは、小学五年生の暑い夏だった。 友達が言ったその言葉の意味が当時の私には全くわからなかった。「島差別」とは島から都会にでると都会の人に、方言のことや故郷が田舎だと差別されるというものだった。 そんなのただの噂だと受け流した私の考えは甘かった。小学六年生になった時、担任の女性の先生は私と同じ奄美大島出身だった。ある放課後先生が話しだしたことはものすごく衝撃的だった。都会で勤めていた時に「これだから島の人は…」そう言われていたのを耳にした、と時間を重ね合わせたかのように涙ぐみながら話したのだ。それを聞いた私は悲しさと同時に、なんでそんなこと言われまい?(どうしてそんなこと言われないといけないの?)と強く思った。確かに奄美大島は田舎だ。だけど学校から帰っていると「ららちゃんおかえり」ニコニコ笑顔で言ってくれる隣のおばちゃんがいる。「この野菜もっていかんね?」多すぎるほどの野菜をくれるおじちゃんがいる。「らら姉ちゃん遊ぼ」人懐っこい笑顔で駆けよってくる近所の子がいる。少し歩けば青く澄んだ大きな海がある。後ろを見れば太陽でキラキラ輝く山の緑がある。夜にはどこからともなく三味線の音が聞こえてくる。都会みたいに大きなショッピングモールや遊園地、電車なんてない。だけどそれよりもあったかくて大きな優しさで溢れているのだ。 奄美の高校生は卒業したら都会へでる人がほとんどで、私もその一人。もしかしたら「島差別」を受けるかもしれない。その時には胸を張って地元、奄美大島の魅力を言うと決めている。島出身者をよく思っていない人達に声を大にして言ってやりたい。『島人(しまんちゅ)なめんな!』
自分が生まれ育った奄美大島を誇りに思っている気持ちがエッセイ全体から強烈に伝わってきます。作者は女性ですが、「島人なめんな!」と強く言い切るタイトルの爽快さをはじめ、冒頭の「あるっちど」のような方言も魅力的でした。「時間を重ね合わせたかのように」といった表現や、会話のリズムも良かったです。 高校卒業後に都会に出ても、「奄美大島出身だ!」と胸を張ってほしいですね。これからも、この気持ちをずっと大切にしてください。