「苦労するからやめとけ。」と、中学生の頃、親に夢を打ち明けた時言われた。 小中学生の頃、私は介護福祉士になりたかった。疾病を持つ祖母の介助をしたら、褒められたから、という単純な理由からだ。 介護士はやりがいはあるが、重労働のわりに給料が低い。苦労すると言われた理由も分かる。問題なのは社会であり国だ。高齢化が進む日本が今、目を向けるべきところは福祉だ。介護士不足という現状を変えるには、対策が必要だ。職員のQOLを守らずに、介護士を増やし、質のよい介護を提供することは、無理に決まっている。 介護士の待遇に疑問を感じ、ネットで介護士の給料が低い訳について調べたことがあった。様々な理由の中に、誰にでもできる仕事という認識が、社会にあると知り悲しくなった。介護の勉強をしてきた私にとっては、そのような認識があることは悔しい。 朝の申し送りで、利用者の容態や対応方法を話し合い、食事の際は、摂取量や栄養バランスの記録をつける。食事に限らず利用者の情報を、職員全員で把握できるようになっていたりと、常に利用者のことを介護士は考えている。 食事介助や体位変換等の身体的なケアだけではなく、利用者の話を聞くことでの、心のケアも介護士は行っていることを、私は校外実習で学んだ。 ただ介助をするだけの仕事ではない。知識や技術も必要とする、これからの社会になくてはならない仕事だ。 今後、日本は超高齢化社会と直面することになるだろう。ますます介護士不足となり、現状では対応しきれなくなる。副業をしなければ、生活していけない介護士もいるのに、増やしていくことなんて難しいに決まってる。だから、介護士のQOLを見直す必要がある。 その為には、私達が変えていくしかない。介護士は必要な仕事だと訴えかけ、社会に分かってもらうしかない。今は文字にしか表せられないけれど、いつか言葉にしていきたい。
介護福祉士になりたいと考える作者が、当事者の視点からの疑問を書いている点に共感して、審査員特別賞に選びました。第4分野のテーマである「社会のなかの『どうして?』」にピッタリの作品です。介護福祉士を目指して勉強しているだけに、書かれている内容や日頃から感じている疑問にリアリティがあって良かったと思います。将来介護福祉士になった後も、この気持ちを持ち続けて欲しいと思います。