この作品も最優秀賞と同じ黒木町の話です。こんなすばらしい町に住んでいる二人がとても幸せだと思いますし、そのよさをしっかり見つめている二人も素晴らしいと思います。この作品は、新しいモノや外国製のモノに目が行きがちな若い人が、長い伝統を有する「浄瑠璃」に目を向けてエッセイにまとめた点に好感を持ちました。泣きの場面や驚きの場面では、演者の仕草が目に浮かんでくるようです。そして、最後の「この町の持つ人間の素朴さの継承なのである」の部分に作者の主張がしっかり入っており、エッセイの締めくくりがキリッとしたものになりました。