「母さん、お元気ですか。」透き通った青い空を見上げて、天国の母へ一言つぶやく。 私には、二組の両親がいる。私は、帝王切開によりこの世に生を受けた。しかし、母は数時間後、私を残しこの世を去ってしまった。父も男手一つで幼い兄を育てていたため、産まれて間もない私を育てることができず、私は母方の両親に預けられた。それが、私と祖父母との出会いである。祖父母も大変だっただろう。やっと自分の子供たちを成人させたのに、二人で第二の人生を楽しむはずだったのに、自分の娘の子を育てるなんて想像もつかなかったに違いない。 そんな二人の苦労も、幼かった私には分からなかった。幼かった私は、祖父母の苦労よりも自分の両親と兄がいないことに淋しさを感じていた。そんな私の心の溝を埋めるかのように、祖父母はいつも一緒にいてくれた。 祖父母は、農業をしている。この仕事は天候に左右されるため、天気の良い日は毎日のように畑に出て汗を流している。私は幼い頃毎日のように祖父母について畑に行き、祖父母の働く姿を見つめながら遊んでいた。そんな祖父母の姿を十六年見てきて感じたことは祖父母の仕事に対する強さと優しさである。どんなに辛い仕事でも最後までやり遂げる強さ、そして作物にかける思いの強さと、作物にそそぐ優しさ。この強さと優しさは生活していく上でも大切なことの一つだと思う。目標が今の自分と離れていても、あきらめない強さ、人に対する優しさ。祖父母は仕事を通し、人生において大切なことを少しずつ教えてくれているのだと私は思っている。 「母さん、お元気ですか。私は今、じいちゃんとばあちゃんと元気にやってるよ。これからも母さんの分まで頑張るからね。」 青い空に向かってそうつぶやく。 私は、一人ではない。心の中にも、実際にも大切な人がたくさんいるから。支えてくれる人がいるから、前へ向かって進めるのだ。
このエッセイを読んでいると、青い空と田園風景が目に浮かびました。そして、祖父母が農業に誇りを持って取り組んでいることに気付いたことを評価しました。文章はわかりやすく、よく書けています。反面、具体的なエピソードが書かれていないために、やや平板な印象も受けます。 祖父母のどんな行動や言葉に「強さ」と「優しさ」を感じたのか。それによって作者の考えや行動がどう変わったのかを具体的に書くと、話がもっとふくらんで、さらによい『母への“メッセージ”』になったと思います。