36℃の言葉。あなたの体温を伝えてほしい。 2009年度 日本福祉大学 第7回 高校生福祉文化賞 エッセイコンテスト入賞作品集
学長メッセージ
審査員の評価と感想
入賞者発表
第1分野 人とのふれあい
第2分野 あなたにとって家族とは?
第3分野 わたしが暮らすまち
第4分野 社会のなかの「どうして?」
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入賞者発表
第4分野 社会のなかの「どうして?」
最優秀賞 僕ら若者、即行動。核兵器廃絶署名活動!
盈進高等学校 3年 藤井 研斗

 @「はい44%、いいえ56%」A「はい24%、いいえ76%」
 この数値は何か。原爆が投下された日を知っているかどうかを問う調査において、@は広島の8月6日、Aは長崎の8月9日を問うた結果だ。対象は小学生約100人。場所は広島平和公園内。実施は昨年と今年の3月。学校で所属する平和と人権の問題を考えるクラブ活動の一環として他校の仲間と独自に調査したが、結果は2年連続でほぼ、変わらなかった。私たち広島に生まれ育った者の W常識Wが、もはやそうではないという結果だ。戦後64年の現実と言うべきか。
 先日、チェコの首都プラハでオバマ米大統領が「核兵器のない世界をめざす」と宣言。7月にはロシアのメドベージェフ大統領とも会談し、両国は戦略核弾頭を過去最低レベルにまで削減することに同意した。世界は今、広島や長崎の願いである核兵器廃絶の方向に大きく動きはじめたと言える。
 実は、私の所属するクラブでは、他校の仲間といっしょに、先述のアンケートを受けて、「どうすれば原爆被害やあの忌まわしい戦争の実相を後世に伝え続けることができるか」を考えてきた。そして、たどり着いた一つの結論。「どうして私たち高校生は核兵器廃絶のための行動を起こさないのか」。現実を嘆いても仕方がない。即行動は若者の特権。
 私たちは、昨年の8月から、広島と沖縄の仲間を中心として、「核廃絶!ヒロシマ中高生による署名キャンペーン」を開始した。
 街頭で、素通りしそうな人に大声で、笑顔で、そして心から訴えた。一人、また一人。署名用紙がどんどんなくなる。この環は、全国展開となって、合計約4万筆もの平和を願う尊い思いを集め国連に提出することができた。決して派手な活動ではないが、私たちは静かな感動を覚えた。みんなで考えた「どうして」と「こうしよう」。社会も私たち若者も案外、“捨てたもんじゃない”かな。

講評

自分の考えをエッセイとしてまとめるだけではなく、実際に行動に移している点を評価しました。原爆を投下された歴史を持つ広島県という土地柄もあるのでしょうが、核廃絶に関心を持ち、行動を起こす若者がもっと出てきて欲しいと思います。内容も、身近な話だけでなく、世界にも視野を広げており、作者の考えがストレートに書かれていて、好感を持ちました。アンケートの結果からエッセイを始めているのは意表を突く構成になっていてインパクトがある反面、唐突な感じも受けます。また、題名だけでこのエッセイの内容を言い尽くしており、わかりやすいのですが、もうひとひねりして、内容を読みたくなる題名にした方が良かったと思います。

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