36℃の言葉。あなたの体温を伝えてほしい。 2008年度 日本福祉大学 第6回 高校生福祉文化賞 エッセイコンテスト入賞作品集
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入賞者発表
第1分野 人とのふれあい
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第3分野 わたしが暮らすまち
第4分野 社会のなかの「どうして?」
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入賞者発表
第4分野 社会のなかの「どうして?」
優秀賞 エコブーム
桐朋女子高等学校 2年 原 衣織

 「もうひとつは持ってますよね。夏が来たら新しいものを手にいれなくちゃ」…これは最近、私が何気なく見ていた女性ファッション誌に載っていた「エコバック」の宣伝コピーだ。
 今日本には、空前の「エコブーム」が訪れている。 おしゃれなエコバックを特集するティーン向け雑誌、CO2排出量が少ないエアコンに変えようと謳うコマーシャル…私たちの周りはエコ商品で溢れている。 しかし私はこれらを目にするたび、かすかな違和感を覚える。 エコバックを何個も買ったり、まだ使える電気製品を買い替えたりすることは本当に「エコ」なのだろうか。 エコ商品は新たなビジネスとなっているように感じられる。
 環境問題が地球規模の大問題であることは事実であるし、国民の多くがエコロジーに熱心であるのは喜ぶべきことだとも思う。 しかし、最近の日本のエコブームは本当に環境問題の解決に有効なのか。
 私には、エコバッグやマイはしを持つことが、環境問題を破壊していることに対する一種の免罪符になっているように思える。 本気で環境問題を解決したいならば、快適な生活環境を諦めたり、新たな経済的負担を負ったりするなどファッションや自己満足に留まらない大きな犠牲を覚悟しなければならないと思う。 例えば、環境税を納めてもっと環境に関する研究に投資するなど、社会のしくみとしてエコロジーにつながるような取組みを行うことの方が重要なのではないか。 今の日本のエコブームは、犠牲を必要としない小さなことだけに目を向けてお茶を濁しているように思えるのだ。 身近な環境問題の解決に地道に取り組んでいる人々を完全に否定するつもりはない。 しかし、小さなことばかりをして満足していては本当の解決にはつながらないのではないか。 地球の、そして私たち地球人の未来のために、私たちはもっと大きな視点でこの問題に向き合っていくべきだと思う。

講評

 現在の「エコブーム」や「エコバッグ」にビジネスが便乗しているあり方に疑問を持ち、鋭い批判を投げかけています。 環境問題について書かれた作品がいくつかあった中で、高校生らしいストレートな疑問を前向きにとらえている点が特に優れていました。 この気持ちをこれからも大切にしてください。

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