36℃の言葉 あなたの体温を、伝えてほしい。 2006年度 日本福祉大学 第4回 高校生福祉文化賞 エッセイコンテスト入賞発表
学長メッセージ
審査員の評価と感想
入賞者発表
第1分野 人とのふれあい
第2分野 あなたにとって家族とは?
第3分野 わたしが暮らすまち
第4分野 社会のなかの「どうして?」
学校賞
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入賞者発表
第4分野  社会のなかの「どうして?」
優秀賞 「飢餓生活にもタイムアウトを」
立命館宇治高等学校 三年 浦 知広
 「ミートワンスロットタイムアウトです。」
 休日の夕方、某ファーストフード店の厨房には、資材の時間切れを知らせる威勢のいいかけ声が響く。忙しい時にはめったに時間切れにはならないが、売り上げの幅が大きく変動する夕方には、その量は何倍にも膨れ上がる。その度にポテトが、ミートが、チキンがゴミ箱へと消えていく。最近では、スピードだけでなく品質をも求めるがゆえに、時間が切れたものは次から次へとゴミ箱送りになっている。できるだけ無駄を出さないようには心がけているものの、出る量は尋常ではない。ある統計によると、日本で一年間に出るゴミの総量は約五千万t以上に及ぶらしい。店が出している量というのは微々たるものかもしれないが、数字を見るとやはり大量のゴミを出している現状が目の前にある。
 ある日、あまりにも捨てる量が多いので、「これってどうにかならないんですかね」と店長に聞くと「買う?」との答えが返ってきた。なんと彼は廃棄物にさえ値段を付けようというのだろうか。一店舗が一日に出す廃棄量で何個のハンバーガーが作れ、何人の飢餓状態の人を救えるだろうか。ファーストフード店の多くは品質よりもスピードを求めるがあまり、廃棄量が増大し、その分処理費も増えているように思う。食品を扱う際の大切な事の一つに、「無駄」を出さないというのがあるはずなのに…。無駄を出しても利益を上げて補うというやり方はどうも気に食わない。
 店のカウンターには、「アフリカの飢餓児童を救おう」と書かれた募金箱が置いてあるが、まず自分たちの店の過剰廃棄に、本社は目を向けるべきであろう。本気で飢餓の人を助けたいのであれば、利益追求や世間体を気にする前に、「無駄」を減らし剰余分を寄付するなどの方法を見つけることが先決である。まず手始めに、商品を渡すときの「ありがとうございました」という言葉に、「無駄を出さなくて済みました」と付け加えるのはどうだろう。
最優秀賞
 ファーストフードやコンビニエンスストアで食べ物を廃棄するテーマは過去にもありましたが、そこに独自の視点をうまく盛り込んだことがポイントとなりました。この作品は自分がファーストフードでアルバイトをしていた実体験が素直に描かれていてよいと評価しました。「店長に聞くと『買う?』との答えが返ってきた」というシーンのように、実際にファーストフード店の厨房で働いている人でないと見えない光景や会話が書かれており、リアリティーのある作品に仕上がっています。


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