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高校生福祉文化賞 エッセイコンテスト入賞作品集
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入賞者発表 第2分野  わたしが暮らすまち

審査員特別賞 「住みよい町のスタンダード」
沖縄県立名護高等学校 三年 久高 恵



 うりずんの風が心地よいある日曜日の朝、なに気なく広げた新聞のある見出しが、私の心を捕えた。
 「住みよい町日本一ランキング一位に、名護市決定」
 アンケート調査をもとに出したもので、人口、治安、土地環境などいろいろな面からその土地を吟味していく。
 この記事を読んだとき、私は驚きを隠せなかった。なぜなら、仕事をするなら那覇、新しい家庭を持つなら読谷だと勝手に妄想を膨らませていたからだ。灯台もと暗しとはこのことである。
 しかし、名護市民として思うのは恥ずかしいことだが、名護市のどこがいいのだろう?
 「母さん、名護市のいい所って、どこ?」
 「さあ、町の雰囲気が、あんまりせかせかしていないところ…かな?」
 確かに名護市は、どこかのほほんとしている。そんなに田舎というわけではないけど、どこか空気が温かい。夏はビール祭り、冬は桜祭りと行事も多い。季節感に溢れているまちだ。
 四季の変化を感じるのは、行事だけじゃない。ぐるっと周りを取り囲む青い海、緑の山々も、日々いろいろな色を見せ、すばらしいファッションショーを披露してくれる。治安もまあまあいいほうだし。
 この記事を読んで、今、建設中の基地のことが頭に浮かんだ。この新しい基地は、普天間基地返還の代償だ。国のトップの人々は、「名護市の活性化のために」というキャッチフレーズで、基地の良さをアピールしていた。「住みよい町づくりのために基地を」と毎日のように宣伝カーが、町中を走り回っていた。けれど、基地がなくても私達の町は、住みよい町として認められた。基地にメリットはあるのだろうか。
 そんなことを考えながら、私は母に言った。
 「母さん、もう辺野古基地はいらないね。」



講 評  声高に「基地反対!」と叫ぶのではなく、高校生の視点で捉え、自分の考えを表現しているところを評価しました。しかし、自分が住む町の良さを再認識したきっかけが、自分の実際の体験を通して得たものではなく、新聞のアンケートだったという点が残念です。また、タイトルの「スタンダード」が唐突で、この文章とはそぐわない点がマイナスされ、審査員特別賞にとどまりました。



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