研究報告

実践的活動を通したアシスティブテクノロジー (支援技術)に関する
機器および要素技術の研究 研究代表者:渡辺 崇史
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実践的活動を通したアシスティブテクノロジー (支援技術)
に関する機器および要素技術の研究 (中間報告)

Study of devices and services in assistive technology for persons with disabilities

研究代表者:渡辺 崇史 (福祉テクノロジーセンター准教授)
共同研究者:水野 暁子 (情報社会科学部教授), 中村 信次 (情報社会科学部准教授),
      田中 賢 (情報社会科学部准教授), 藤田 紀昭 (社会福祉学部教授)

 
研究期間 2005 年度〜2007 年度

【要旨】
 心身に障害を持つ人のためのアシスティブテクノロジー(支援技術)研究は,実生活場面においての個別相談対応の実践から利用者ニーズを適切に捉えること,その上で機器開発および適合技術の構築を行なうことの両者が必要である.今年度は,昨年度に引き続き福祉用具・支援機器の適合相談を実施し,相談体制つくりを行うとともに,機器操作のための操作スイッチ用インタフェースの研究を継続して行った.
 適合相談は個人相談と施設等からの相談59件,相談のべ回数123回に対応したが,今年度は,大学内の学生相談にも対応し,学生生活における支援機器のニーズ把握を行った.
 操作スイッチ用インタフェースは,実利用のためのインタフェース基板を開発したのでその仕様について報告する.

1. 研究の背景と目的
 
 心身に障害を持つ人(以下,利用者)への支援技術(Assistive Technology,以下AT)は2つの意味を持つ.1つは利用者の機能を増大,維持または改善するために利用される機器・道具やシステムを示し,もう1つは利用者が適合した機器・道具を選ぶ,入手する,有効活用することを援助する支援サービス1)である.またATは,リハビリテーション工学を含む工学的側面,社会福祉学等における相談援助技術の手法,心身障害に対する医学的側面,地域作りや流通を含む社会学的側面等を持つ学際的な領域であるが,さらにWHOのICF(国際生活機能分類)の生活機能構造モデル2)から,AT利用者の障害を「誰にでも起こりうる生活上の障害」と考えるならば,利用者個々人に適合した機器・サービスが適用される非常に個別性の高い技術領域でもある.

 

 これらのことよりATは,機器やサービスに人が合わせるのではなく,人に機器やサービスを合わせるといった視点が必要である.したがってAT研究は,実生活場面においての相談や実践活動から利用者ニーズを発掘し,機器開発や適合技術の向上を目指すという研究スタイルをとるべきである.
  本研究では本学の学際的な環境を生かし,実際の利用者への福祉用具や支援機器の適合相談及び製作・改造・調整等の支援の実践を行ないながら,AT機器開発や適合支援に必要な要素技術,評価技術および支援サービス等の研究開発を行なうものである.

2. 方法

  今年度においては次の2点を中心に展開した.

(1)ATの適合相談の実施と相談体制の整備

 何らかの障害を持つ本人とその家族および福祉医療関係の支援者等からの個人相談と,福祉医療関連施設等からの相談を受け付け対象とした.相談対応は,福祉テクノロジーセンター,なごや福祉用具プラザ((社福)名古屋市総合リハビリテーション事業団の運営する介護実習普及センター)での来所相談と,利用者の自宅や施設・病院への訪問相談を行なった.

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Copyright(C):2006, The Research Institute of System Sciences, Nihon Fukushi University