写真−3 放置された雑木林

3. 調査方法

 植生調査をおこなうために, まず, 調査範囲 (プロット) をそれぞれの調査場所に設定した (管理された雑木林:20m×20m;放置された雑木林:10m×10m を 2 ヶ所). それらのプロット内の, 枯死木と樹高 1.3m 以下の樹木を除く, 全樹木個体を対象にして, 樹種, 胸高直径, 樹高を調べた. 樹高からそれぞれの樹木を階層別に分け (高木層 8m 以上, 亜高木層 5〜8m, 低木層 5m 未満), 階層別に常在度 (全調査区数に対して, ある樹種がどれだけ出現しているのかを示す指数) を算出した.
 昆虫相調査は, ライトトラップによった. 各プロットのほぼ中央に, 縦 1m, 横 2m の白色のシーツを張り, 両端にそれぞれ 6W のブラックライトと白色蛍光灯を設置した(写真―5).



写真−5 ライトトラップの様子




写真−4 
放置された雑木林で枯死したアカマツ

ライトは 18 時に点灯し, 22 時ごろに, シーツに集まっている甲虫をすべて採集した. 昆虫相調査は, 2000 年 8 月 3 日〜9 月 1 日の間に行った.

4. 結果と考察

 表−1, 2 に, 管理された雑木林と, 放置された雑木林の常在度を示した. 数字は, 調査区内の胸高断面積の比率を表している. 管理された雑木林では, 高木層にコナラ, アカマツが優占しており, 亜高木層, 低木層にヒサカキが繁茂していた (表−1). 一方, 放置された雑木林では, 管理された雑木林と同様コナラが優占種となっていたが, マツはすべて枯死していた. さらに, 高木層にカクレミノ, モチノキなどの常緑広葉樹が出現していた. 亜高木層, 低木層には, カクレミノ, ヒサカキが多数出現しており, 常緑広葉樹のみがこの層を占めていた (表−2).
 昆虫相調査の結果から, 管理された雑木林では, カブトムシ (写真―6) をはじめ, 7 種の甲虫が採集されたが, 放置された雑木林では, 採集個体数は多かったが, 1 個体を除いてすべてがアオドウガネ (写真―7) 1 種であった.
 以上のことから, 放置された雑木林では, 管理された雑木林で見られなかったモチノキや, カクレミノといった常緑樹が大半を占めており, 遷移が進んでいるものと考えられた. このまま放置されつづけれ

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