研究報告

実践的活動を通したアシスティブテクノロジー (支援技術)に関する
機器および要素技術の研究 研究代表者:渡辺 崇史
  1/8

実践的活動を通したアシスティブテクノロジー (支援技術)
に関する機器および要素技術の研究 (中間報告)

Study of devices and services in assistive technology for persons with disabilities

研究代表者:渡辺 崇史 (福祉テクノロジーセンター助教授)
共同研究者:水野 暁子 (情報社会科学部教授), 中村 信次 (情報社会科学部助教授),
      田中 賢 (情報社会科学部助教授), 藤田 紀昭 (社会福祉学部教授)

研究期間 2005 年度〜2007 年度

【要旨】
 心身に障害を持つ人のためのアシスティブテクノロジー (支援技術) 研究は, 実生活場面においての個別相談対応の実践から利用者ニーズを適切に捉えること, その上で機器開発および適合技術の 構築を行なうことの両者が必要である. 今年度は, 福祉用具・支援機器の適合相談を実施し, 相談体制つくりを行なうとともに, 機器操作のための操作スイッチ用インタフェースの研究を行なった.
 適合相談は個人相談と施設等からの相談 72 件, 相談のべ回数 139 回に対応した. 適合相談の例として, 学校生活や社会参加活動, 就労活動等を拡大・改善するための福祉用具および支援機器の適用事例を示した. 操作スイッチ用インタフェースは試作品を実際の相談事例に適用し, 肢体不自由者のスイッチを利用した機器操作が 確実かつ適切に行なえるような制御回路群について考察し, 商品化に向けた検討を行なった.

  1. 研究の背景と目的
  心身に障害を持つ人 (以下, 利用者) への支援技術 (Assistive Technology, 以下 AT) は 2 つの意味を持つ. 1 つは利用者の機能を増大, 維持または改善するために利用される機器・道具やシステムを示し, もう 1 つは利用者が適合した機器・道具を選ぶ, 入手する, 有効活用することを援助する支援サービス1)である. また AT は, リハビリテーション工学を含む工学的側面, 社会福祉学等における相談援助技術の手法, 心身障害に対する 医学的側面, 地域作りや流通を含む社会学的側面等を持つ学際的な領域であるが, さらに WHO の ICF (国際生活機能分類) の生活機能構造モデル2)から, AT 利用者の障害を 「誰にでも起こりうる生活上の障害」 と考えるならば, 利用者個々人に適合した機器・サービスが適用される非常に個別性の高い技術領域でもある.  これらのことより AT は, 機器やサービスに人が合わせるのではなく, 人に機器やサービスを合わせるといった視点が 必要である. したがって AT 研究は, 実生活場面においての相談や実践活動から利用者ニーズを発掘し, 機器開発や適合技術の 向上を目指すという研究スタイルをとるべきである.  本研究では本学の学際的な環境を生かし, 実際の利用者への福祉用具や支援機器の適合相談及び製作・改造・調整等の支援の 実践を行ないながら, AT 機器開発や適合支援に必要な要素技術, 評価技術および支援サービス等の研究開発を行なうものである.
←前の研究報告

Copyright(C):2006, The Research Institute of System Sciences, Nihon Fukushi University