2月1日(水)の夜、高浜市内のかわら美術館モノコトギャラリーにて、ざっくばらんなカフェvol.49を開催しました。普段は静かな瓦(かわら)の展示室がカフェ空間としてガラリと雰囲気を変え、そこに80名もの参加者が集まりました。
今回のテーマである「SBP」は「ソーシャル・ビジネス・プロジェクト」の略。地域の課題を地域の資源を活かして解決に向けていく動きのことで、「ビジネス」の視点が取り入れられているのが特徴です。あえてビジネスとして動ける・動く仕組みにすることで、関わる人にとって継続していくことが可能であり、問題の解決につながっていくと考えられています。今回のカフェでは、高浜高校で結成された「SBPチーム」の活動が紹介されました。
高浜高校のSBPチームは全員で8名。昨年の夏、高校生レストランの仕掛け人である岸川政之さんが他校のSBPを高浜高校で紹介し、活動に興味を持った1年生たちを集めたことが発端でした。高浜高校をいかに盛り上げるか、高浜市をいかに元気にするかといったことをテーマに、それをビジネスにできるように岸川さんや市職員たちと共に作戦を練ったそうです。その過程で、地域のキャラクターを模したオリジナルの鯛焼きづくりに取り組んでいる他校のSBPに行き当たり、同じように鯛焼きをつくるだけでなく“特製の鯛焼きの金型を全国に販売する”ことをビジネスにしようと考えています。高浜市は鬼瓦や自動車部品などのモノづくりが盛んなため、その技術を活かして金型を作るという構想です。今回、高校生たちが考えたオリジナルキャラクターの金型や粘土型も披露されました。高校生自らが地元の職人の前で想いを語り、職人が協力して作ってくださったそうです。実際に型を目の前にすると鯛焼きのイメージも具体的になり、実現できそうなワクワク感で会場が一体となりました。
プレゼンターを務める高浜高校SBPチーム
プレゼンターの指出さん、岸川さんほか、SBPチームを支える市職員たちとの集合写真
指出編集長(左)と岸川さん(右)
指出さんは「今、全国各地で若者たちがユニークな動きを見せているのは、震災後に価値観が大きく変わったことが要因」という切り口から話し始めました。若者たちは「自分が動く」「自分がプレイヤーになる」ことで実際に何かが変わることに気づき、動けるステージとして中山間地域に注目しました。多くの人たちの中の1人として埋もれるのではなく、自分自身がプレイヤーになることができ、「東京にはないファンタジーがある」地方での暮らしが、若者の心を惹きつけたそうです。『ソトコト』では、そのような若者たちの動きを経年的に見てきました。最初に会ったプレイヤーが、次に会った時に大きな変化を見せ、さらに地域の中に別の新しいプレイヤーが生まれる…その地域を定点的に見ていくことを大切にしていると話していました。
岸川さんを囲んで話す参加者
こちらのテーブルでは指出さんと
岸川さんも同じように、この高浜高校生のSBPチームを伴走しながら見守り、支援していくと話しました。チームとして成長、醸成されていくのが楽しみで、そこから本当の地域の課題解決につながっていくと考えています。そのために大人たちが、動こうとしている若者たちにステージ・舞台を用意する必要がある、と力強く語りました。そして「高浜は市を上げて応援してくれる基盤が整っているし、多くの人が『自分ごと』として捉えている。それぞれが一歩踏み出すことが、大きな動きにつながっていく」と締めくくりました。
今回のカフェでは、ガチャガチャで特製の缶バッチが当たる仕掛けも
高浜市は、市職員もSBPチームを支援しながら一緒に活動しています。その職員チームがそれぞれのテーブルに入り、後半のカフェタイムは参加者同士が和気あいあいと語り合いました。会場全体が「みんなで高浜を盛り上げていくぞ」というムードに包まれ、温かなカフェとなりました。
今回のカフェの様子は4月号の『ソトコト』に掲載されるそうです。ぜひご覧ください。