CODE 014 担当教員 毛 利 良 一
テーマ グローバリゼーションの光と影
―21世紀における共生のアジアを考える―
著書・論文
研究課題等
主著:『グローバリゼーションとIMF・世界銀行』大月書店,2001;『国際債務危機の経済学』東洋経済,1988
翻訳:スーザン・ジョージ『ルガノ秘密報告グローバル市場経済生き残り戦略』(監訳)朝日新聞社,2000;同『世界銀行は地球を救えるか』朝日選書,1996;同『債務ブーメラン』(共訳)朝日選書,1994,ブルームフィールド『国際短期資本移動論』(共訳)新評論,1974

ゼミ概要
世界経済の動きに高感度のアンテナを張る
 1990年代の世界経済では,アメリカが独り勝ちをおさめた.東西冷戦がおわって社会主義経済は崩壊し,ロシアの市場経済移行は困難をきわめている.日本は長期不況から抜け出せず,リストラ・倒産が続いている.欧州は政治経済統合という壮大な実験をすすめてきた,99年に発足した共通通貨ユーロはドルに対して低迷してきた.アメリカは,IT革命,金融工学の優位を発揮して,アメリカ型市場原理主義を基調とするグローバリゼーションを押し進めた.こうしたなかで,世界中で「リッチ」と「プア」,「中枢」と「周辺」の格差が拡大した.
 21世紀になって,「ITバブル」が弾けた.それに加えて,アメリカの経済と軍事中枢を攻撃した同時テロにより,株価は下落し,消費の落込みが激しくなった.世界マネーフローの逆襲は現実のものとなり,世界経済への影響は避けられないだろう.
 アジアに目を向けてみよう.世界の成長センターと言われた東アジア地域は,97〜98年に通貨金融危機におそわれた.大きな打撃を受けたが,いま経済再生に取組んでいる.注目すべきは中国の動向だ.
 購買力平価ではかるとGNP総額で日本を追い越した中国では,WTO加盟によりグローバル・スタンダードが導入されることもあって,外資の進出が一段と増加している.アメリカ型ファーストフードの雄「マクドナルド」は,食文化の伝統をこえて出店・売上を拡大している.「ユニクロ」は,日本の製造・流通技術を持込み,「よかろう安かろう」衣料で日本人の消費スタイルを変えた.2008年北京オリンピックでは,中国は金メダルラッシュによる国威発揚をねらい,政治・経済でも超大国となってくることが予想される.そのとき,日本経済は不況から立直り繁栄を謳歌しているのか,沈没しているのだろうか.

情報を仕入れて分析し,プリゼンテーションを行う

I「グローバリゼーションの光と影」(春休み〜2年4月)
  • なぜマクドナルドが快進撃を続けるのか,その影響は?
  • エイズの治療薬をアフリカの低所得層に届けるには,どうしたらいいの?
  • 遺伝子組換え食物は,途上国を飢餓から救うことになるのか,人びとの健康に影響を与えないか?
  • 日本企業の中国進出および製品の逆輸入は,日本経済を空洞化させないだろうか?
あなたはどんな問題に関心がありますか.ひとつのトピックまたはテーマを設定して,テレビ,インターネット,新聞,本・雑誌などで情報を仕入れて,自分でレポートにまとめ,プリゼンテーションできるようにしよう.

II「グローバル経済」の基礎を学ぶ(2年前期)
  • グローバル経済の枠組みの変化,IMF(国際通貨基金)や世界銀行,WTOなどの役割
  • 成熟資本主義経済におけるアメリカ,日本,EUの比較
  • 市場経済化をすすめるロシア・中東欧と中国・ベトナムの比較
  • 経済開発路線におけるアジアとラテンアメリカの比較,アフリカ停滞の理由
III「グローバル経済」を深める(2年後期)
  • 中国のWTO加盟とその影響
  • アジア経済再生にむけた地域間協力,などから希望を踏まえ,テーマを設定する.
IVインターゼミナール全国大会に参加する(3年)

2年後期からのテーマをさらに深めて論文を書き,プリゼンテーションをおこなう.
就職活動をはじめる前に,就職面接で話せるように,卒業論文の半分は書いておこう.

ゼミナールでは,発言し議論することが大事
  1. 選定するテキストにそって,順次,担当者がレジメを作成して30分ほど報告します.それにもとづき全員(発言ゼロは欠席扱いになる)で討論を行います.著者の主張を正確に要約して説明する力をやしない,理解できなかった疑問点をどう質問するか,解決するためにどうやって調べるか,討論のなかでどう説明すれば相手に納得してもらえるか,を学びます.高水準のプリゼンテーションと討論の技術を身につければ,就職の面接でも,営業活動でも,社内の企画会議でも,役に立ちます.
  2. 情報源は無数にあります.各テーマにそって,テレビ,映画,インターネット,新聞,文献や資料,見学や聞き取りなど,貪欲に利用しましょう.

一緒に勉強したい人は,研究室を訪問するか,Eメール(宛先:mohri@n-fukushi.ac.jp)を下さい.希望票には,次のことを書いてください.
  1. 関心・興味を持つ問題,ことがら,課題,その理由(詳しく)
  2. サークル活動,アルバイト歴など
  3. 最近心に残った本,映画,テレビ番組,出来事など
  4. 卒業後の希望進路

使用テキスト 担当教員からのメッセージ
シュローサー『ファーストフードが世界を食いつくす』草思社,2001年
ジョン・グレイ『グローバリズムという妄想』(石塚雅彦訳)日本経済新聞社,1999年
羽鳥敬彦編『グローバル経済』世界思想社,1999年
  1. 好奇心・探求心の強い人を求めます.
  2. 自分で問題を発見し,自分の言葉で語ろう.
  3. 「意志は力」「継続は力」です.
  4. PC,インターネット,Eメールは,現代の読み書きそろばんです.ゼミの連絡はEメールで行う.


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