CODE 011 担当教員 曲 田 浩 和
テーマ 日本史の諸問題
著書・論文
研究課題等
 

ゼミ概要
[内容]

 高等学校までの日本史は,しばしば暗記科目と言われます。確かに難解な歴史的な用語が数多く使われ,覚えるのに苦労した方もいるでしょう。それはそれだけ時代による多様性があり,分野にも幅があるということです。日本史を学習する目的は,人々がどのような社会のなかで生きてきたのかを考えることにあります。それは政治・経済・文化などのなかで総合的に捉える必要があり,また,時代によってその形態も様々です。そのため数多くの事象が複雑に絡み合い,様々な歴史的な用語が生まれてきたのです。歴史的な用語を覚えることが目的ではありませんが,歴史的な用語を考えることは必要です。なぜこのような用語が生み出されたのか。この用語を通して見ると,どのような時代像が描けるのか。歴史的な用語が,歴史を考えるひとつの材料になります。
 このゼミでは,三つの大きな柱を立てます。一つは歴史を学ぶこと,二つめは歴史に学ぶこと,三つめは歴史を記録することです。
 一つは,人々の生活や意識を考えながら,歴史を学びます。
これまでどのような歴史像が作りあげられてきたのでしょうか。まず,日本史の概説書を中心に考えます。自分の興味を持っている時代の個人報告を行ってもらいます。同じ時代を扱っても,報告者によって,歴史のイメージが異なります。経済を中心に考えるものもいれば,文化を中心に考えるものもいます。ゼミの場では,各自の歴史像をもとに,おおいに議論したいと思っています。
 二つめは,現代社会を歴史のなかで考えてみることです。
 今起こっている事柄には必ず歴史があります。どのような歴史的変遷を経て,現代に至ったのでしょうか。歴史に学ぶことから,その本質が浮き彫りにできるかも知れません。現代と歴史の世界を安易に比較することは好みません。時代背景も生きている人々の暮らしや考え方も違うからです。しかし,人間であることには変わりありません。最大限の幸福を求め,豊かな社会で暮らしたいという人々の思いはいつの時代も同じです。何かひとつでも歴史から学ぶことができればよいと思っています。
 三つめは,知多半島の風景を記録することを考えています。
先日,米国の世界貿易センターが失われました。ある人はすぐにニューヨーク旅行の写真を取りだし,その風景を確認したといいます。世界貿易センタービルは,あれだけの事件がありましたので,忘れることはないでしょう。また,人々は忘れさせないように努力することと思います。しかし,何の変哲もない町の風景は一度失われてしまうと,簡単に忘れ去られてしまいます。いつも通っていた場所に突然空き地ができても,もともと何があった場所かわからないということは,すでに経験しているのではないでしょうか。
 2003年には,大学キャンパスの風景も変わると聞いています。まずは,大学キャンパスの風景を写真に残すことからはじめています。
 そのほかにも歴史を記録に残す方法は多くあります。できることから始めていきたいと考えています。

[履修上の注意]

 全体を通じて学生の皆さんに考えてほしいことは,日本史は,各時代の特徴を自分なりに分析することが必要だということです。そのため現在への問題関心を持っていることが望まれます。新聞記事などに注意し,今起こっている問題には常に敏感でいてください。
 特に,中学社会の教員志望の方は歓迎します。中学社会の教員に求められることは,歴史的事象や歴史的な用語をどれだけ多く知っているのかではなく,何をみれば調べられるのかということと,歴史を伝えていくという意識を持っていることにあります。
ゼミ開講初日には,下記のテキストと,高等学校日本史の教科書(特に指定はしない)を必ず持参してください。

使用テキスト 担当教員からのメッセージ
竹内誠ほか編教養の日本史〔第2版〕東京大学出版会1995年  


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