CODE 006 担当教員 近 藤 充 代
テーマ 現代経済社会と消費者
著書・論文
研究課題等
  • 「消費者の権利と法制度改革」(日本の科学者35巻4号,2000年)
  • 「消費者法の現状と展開」(丹宗・厚谷編『新現代経済法入門』法律文化社,1999年)
  • 「コンビニ契約の締結」「コンビニ契約の内容」(本間重紀編著『コンビニの光と影』花伝社,1999年)
  • 「WTO体制下のハーモナイゼーションと消費者の健康・安全」(高橋・本間編『現代経済と法構造の変革』三省堂,1997年)

ゼミ概要
〔内容・方法〕

あなたはこれまで
  1. 繁華街を歩いていて,「簡単なアンケートに答えて!粗品をあげるよ」などと声をかけられたことがある。
  2. 大学生になってから,しばしば自宅に知らない女性(or男性)から電話がかかってきて,親しげに話しかけられ,よく聞いてみると英会話学校の勧誘だった。
  3. 突然,中学(or高校)のときの(あまり親しくなかった)友人から電話がかかってきて「いいバイトの話があるから一緒にやらないか」と誘われた。
 といった経験,してませんか?
  実はこれらはいずれも消費者問題なのです。(1.はキャッチセールス,2.は電話勧誘販売あるいはアポイントメントセールス,3.はマルチ商法(の可能性大))。このように消費者問題は私たちにとって非常に身近な問題なのです。もう少し専門的に言いますと,そもそも消費者問題とは,企業による大量生産体制とその結果としての大量販売体制によってもたらされた消費者被害(例えば,欠陥商品)に端を発するものですが,現代の消費者問題はそれらにとどまりません。すなわち,現代の経済社会では,資本主義化のいっそうの進展にともない,消費者取引においても,単にモノだけでなく,サービス(例えば,英会話スクール,エステティックサロン等)や権利(例えば,ゴルフ会員権,リゾート会員権等)など,ありとあらゆるものが商品化され,取引対象となっています。また,それら多種多様な商品等を消費者に売るための販売方法も,昔からの店舗販売にとどまらず,訪問販売,キャッチセールス,アポイントセールス,通信販売(ダイレクトメール,カタログ販売),テレビショッピング,電話による勧誘など,つぎつぎに新しい方法が考え出されています。売れるものは何でも売る!売れないものも無理矢理売る!といった感があります。そして,利潤追及に突っ走るそれらの企業活動の結果発生する消費者被害は,きわめて多岐にわたり,かつ,複雑化しており,従来の法制度では十分に対応できない事態すらしばしば発生しているのです。
このような広範化し,複雑化し,深刻化しつつある消費者問題をどのように解決したらよいでしょうか?もちろん,被害を受けた消費者を事後的に救済すること(消費者相談,訴訟等)も必要ですが,それだけでは根本的な解決策とはなりません。消費者問題の生じてくる原因を構造的に分析し,把握し,消費者の権利擁護の観点から,企業規則をも含めた広い意味での事前予防のシステムを作っていく必要があるのではないでしょうか。
以上のような観点から,本演習では,一年目(=2年次)はまず,消費者問題全体の概要を知ることに主眼を置き,テキストに沿って学習を進めます。
そして,二年目(=3年次)は,皆が関心を持った消費者問題のうち,いくつかの領域にしぼって,できればグループを作って(例えば,サービス取引グループ,通信販売グループ,クレジット取引グループ等),より詳細で専門的な分析を行い,問題解決の方向(例えば,法律の解釈論,行政のあり方,立法論等)について,皆で討論をしたいと思います。
なお,消費者センターへの訪問や裁判の傍聴なども毎年おこなってきています。

〔履修上の注意〕
  1. 一年目(=2年次)はおおむねテキストに沿って学習を進めますが,二年目(=3年次)は特にテキストを決めず,それぞれのテーマについて,文献・資料の収集,分析,検討…,すべて自分たちで力を合わせて進めていってもらいます。
  2. 一年目,二年目の終了時には,それぞれ一年間の学習の成果を400字×10枚程度のレポートにまとめて提出してもらう予定です。
  3. 2年次には「民法」を履修して下さい。内容が相互に関連しているため,ゼミでの学習にも役立ちますので,できるだけ履修するようにして下さい。
  4. 希望票には(a)消費者問題というとどのようなことを思い浮べるか?現時点ではどんな消費者問題について関心があるか?,(b)ゼミを通して学んでみたいこと,(c)どんなゼミにしたいか?,自分はこのゼミに入ったら,どんなことで貢献できるか?(=自己アピール),について記入して提出してください。

使用テキスト 担当教員からのメッセージ
皆で相談して決めます。候補としては,
伊藤進木元錦哉村千鶴子『テキストブック消費者法(第2版)』日本評論社2000年
正田彬金森房子『消費者問題を学ぶ(第3版)』有斐閣1997年
平野鷹子『私たちの消費者法(第2版)』法律文化社2001年など
どんな意見でも,自由に言い合えるふんい気を大切にしていきたいと思っています。
希望票だけではわからないことも多いので,入ゼミ希望者はできるだけ研究室を訪問してください。


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