ゼミナール 55 担当者 貫 井 正 之
テーマ 在日外国人をめぐる諸問題
授業計画
日本の人口構成は高齢化・少子化に向って急速に進んでいる。総人口に占める 65 歳以上の割合が 7%以上になると高齢化社会と呼ばれるが,日本はスウェーデンと同じ 17%台である。この現象から日本の将来像は極端な働き手不足が見えてくる。ある国際調査機関では日本経済は 2015 年,年間 300 万人以上海外労働者の供給を求めなければ成立しないだろうと指摘している。現時点での在日外国人は 155 万 6113人(2000 年統計),短期滞在者を入れるともっと多い。ところが,日本は在日外国人・移民問題にはきわめて関心が薄く,切迫感もない。在日外国人問題は山積しているにもかかわらずそれらは無視され,敬遠されている。例えば参政権,民族教育,国際結婚,在日3,4 世,就労,文化,宗教,不法滞在,ピッキング,移民,難民問題などなど。その背景は日本人一人一人の認識不足であり,無知のためといえよう。日本社会の病根の一つ弱者軽視,切り捨て思想と同根であり,人権意識の課題へとたどりつく。日本人が彼らと共生の姿勢・視点をとるならば,私達たち自身の身近な問題であり,日本社会を写す鏡ともなる。授業では在日外国人諸問題を歴史学的・社会学的に考察して,正確な現状把握,将来への展望などを探求したい。進め方は,全体討論を重ねて共通認識を作り,各自のテーマ設定,報告,討論の順序で進行する。時には客員ゲスト(在日外国人)との懇談,フィールドワーク(在日外国人コミュニティー参加)なども取り入れたい。

【参考文献】 田中 宏『在日外国人・新版』(岩波新書)。


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