CODE
401
担当教員
吉 井 清 子
テーマ
健康や病気を社会の視点から考える
著書・論文
研究課題等
アーロン・アントノフスキー著, 山崎・吉井監訳 『健康の謎を解く−ストレス対処と健康保持のメカニズム−』 有信堂, 2001.
「中年期女性の就労や社会的活動参加が健康状態に及ぼす影響と役割特性の比較」
『日本公衆衛生雑誌』 第46巻第10号, 1999, pp869-976.
「不健康行動に関する規範意識・社会規範−基本属性及び準拠集団との関係−」 『日本公衆衛生雑誌』 第45巻第2号, 1998, pp151-163.
「医師と看護婦の協働性の概念と測定方法」 『医療者・患者関係の転換と患者の主体化に関する現状分析と理論開発(科学研究費報告書)』 2001, pp113-119
ゼミ概要
近代医療が発達した現在, 「健康」 や 「病気」 は, 専門知識をもった保健医療専門職が管理したり判断したりするものと思われているかもしれません。 しかし, もともと 「健康」 や 「病気」 というのは日々の生活の中で一般の人が感じ経験しているものですし, 人々は健康を保つための知恵や工夫する力をもっています。 病気になったとしても, その時に人々がとる行動は, 病院にかかるだけでなく, 休養をとったり, いわゆる健康雑誌を読んだり, 鍼灸治療を受けたり, 神社におまいりに行ったりとさまざまです。 といっても, 医療の研究からわかってきた健康に関する知識を知り利用したり, 医療機関をうまく利用したりすることも, 現在に生きる人々にとっては, 健康を保つためのひとつの能力と考えられるでしょう。
現在では保健医療職にとっても, 一般の人たちの健康に対する意識や行動, 医療に対する意向などを考えることなしに, 実践することが難しくなってきています。 その背景として, 慢性疾患をもつ人が増えたことにより治療や療養が普通の生活の中で行われるようになっており, 生活にはその人の価値観(健康観や医療観も含まれる)や生き方が反映されるものであることや, 医療行為や医療サービスに関して人々の関心や要求が大きくなってきたことなどがあります。 しかしながら, 保健医療職と一般の人の間での健康観や医療観の違いは大きく, 保健医療職が一般の人の価値観を十分に理解しているとはいえない現状にあると思います。 このような中で, 保健医療に関わる福祉職は, 一般の人の価値観の側に立ち, 保健医療職との橋渡しができる可能性があると考えます。
私は, もともと医療職(看護婦)として働いていましたが, 疾患についての医療的な知識を知るだけでは納得のいく援助をするのには不十分だと考えるようになり, 健康や病気に関する社会学や行動科学について勉強したり研究したりするようになりました。 また, 現在, 看護学や保健学についての講義する中で, インフォームドコンセントや医療事故などについての質問をうけることがあり, 理想論だけでなく, 現状を踏まえた具体的な方法論について考えていきたいと思っています。
この専門演習では, まず, 健康と病気に関する社会学や行動科学についての理論やこれまでの知見を学習しながら, 意見を交わしていきたいと考えています。 また, 現状を知り批判するだけでなく, 改善案についても考えていきたいと思います。 使用する予定のテキストでは, 例えば, 「健康・病気と社会的格差」 「行動・生活・人間関係の健康影響」 「医療者−患者関係」 などがトピックスとしてあげられています。
使用テキスト
担当教員からのメッセージ
山崎喜比古編 『健康と医療の社会学』 東京大学出版会, 2001年
実践に直接役立つような内容のゼミではないかもしれませんが, 日ごろなんとなくわかったつもりになっていることについてもう一度考えたり, 疑問点を明らかにしていけるようなゼミにしたいと思っています。
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