CODE 305 担当教員 若 松 利 昭
テーマ ソーシャル・マーケットと介護支援の臨床
著書・論文
研究課題等
 

ゼミ概要
概要と枠組み

 高齢者, 障害者への支援のシステムと臨床について検討する。 検討のための方法として情報収集の方法とこのまとめ方, レポートの書き方を学習する。
 全体の枠組みは次のとおりである。
支援の基本は, システムと臨床である。 この中間に位置するものがソーシャル・マーケットである。 マーケットの動態を通して, 支援の特性と利用者の特性, そして, 地域の特性を明らかにすることができる。
利用者の特性は, 心身の障害を下敷きとして, 「介護支援」 からみた 「営みとしての生活」 のありようを通して検討する。 生活の理解の必要性が言われているが, 私たちは, 介護のシステムと方法を生み出すという観点から, 具体的な生活理解の方法を検討する。
支援の特性は, 支援そのものの特性を検討するとともに, 支援の組織のあり方, 介護の個別の仕事をどのように編成するかの方法を検討する。
この人に個別の支援が向かうためには, 利用者の特性と支援の特性を結合し, この人に接近するための支援の方法を生み出すために, 「ケース検討」 の方法を検討する。 ケース検討の方法の検討を行うためには, 施設支援であれ在宅支援であれ支援の目標を明らかに設定することが必要である。 支援を必要とする人たちが生活のイメージを形成することを支援する観点から検討する。
 以上の検討を通して, 高齢者, 障害者への支援のシステムと臨床を検討する。

私のスタンス

 今までの仕事をまとめると障害者, 高齢者の支援については次のように考えている。
 第一は, 在宅優位, 施設排除論は誤りであると思われることである。 施設がなければ在宅支援は成り立たない。 大切なことは, 在宅か施設かの二者択一の議論の仕方ではなく, これらの支援を生活の障害に対応してどのように運用するかの問題として検討することである。
 第二は, 契約方式を基礎とする市場方式が破綻し始めていることである。 特に, 要介護認定による支援の縛りを支援の最初にかける方式は誤りである。
 第三は, 今行われているアセスメント, ケアプラン, そして, マネジメントの方法を検討する必要がある点である。 大切なことは, 生活障害へどのように支援の舞台を作るかである。 心身の障害を抱えて何とか生活を成り立たせるための支援が社会福祉の支援である。

私の仕事

 以下に私たちが行ってきた仕事を示す。
  1. 利用支援の動態の検討
     介護レセプトを素材として, マーケットの動態を明らかにしてきている。 これを通して, 生活の特性, 支援の特性について検討している。 在宅支援は, 同居で軽度の人たちが対象となってしまっている点であり, 多くの在宅生活者は家族が介護していることである。 夜間介護に象徴される事態が発生すると, 在宅支援は殆ど力を持たない。
  2. 支援の組織と労働の編成
     施設での支援の特性を明らかにするために, 施設での利用者とケアワーカーの生活実態を検討している。 基本的な問題は, 施設ケアが生活を創造する方向に展開しておらず, 日課と身辺介護を軸に行われていることである。 象徴的には 「ボーっとしている入所者, 忙しいワーカー」 という図式が一般的である。

使用テキスト 担当教員からのメッセージ
   


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