CODE 303 担当教員 野 口 定 久
テーマ 新時代の地域福祉  計画と協働と参加
著書・論文
研究課題等
〔著書〕
『地域福祉論』 (みらい、 1995年) / 『これからの社会福祉第 6 巻 地域福祉』 (有斐閣, 1995年) / 『コミュニティワークの新展開』 (みらい, 1996年) / 「公的介護保障と福祉公社」 「公社・第三セクターの改革課題」 (自治体研究社, 1997年) / 「地域福祉計画の評価とその基準」 『社会福祉21世紀のパラダイム』 (誠信書房 , 1998年)/ 『転換期の社会福祉』 (八千代出版, 2000年), / 『改訂 地域福祉論』 (へるす出版, 2001年), 『新版 地域福祉論』 (中央法規, 2001年)
〔研究課題〕
「現代の福祉問題にコミュニティはどこまで有効か 現代コミュニティと地域福祉」

ゼミ概要
 近年の経済と社会の大きな変動は, 大量の失業者やホームレスの出現など生活の弱体化を招いています。 また, 家族や地域の人間関係の側面でも大きく作用し, 家庭内では, 虐待や暴力, いじめ, ひきこもりなど, 家族や親族網を含めたコミュニティのインフォマル・システムのゆるみをもたらしました。 家族が個々に孤立し, とりわけ子育て中の若年夫婦世帯や障害者・高齢者の要介護者を抱えた家族の間で, 孤立や孤独が意識され, その解決が否応なしにコミュニティの転生や家族関係の現代的とらえかえしを迫ってきています。 本ゼミナールでは, (1)はたして地域住民は現代の福祉問題を克服できるのか, (2)克服できるとするならば, その方法と筋道をどこに求めるのか, という問題を設定してみました。 

《私の研究課題》

 まず, 私の専門分野を紹介しておきます。 それは, 「地域福祉, コミュニティワーク、 社会福祉計画, とくに社会福祉調査法に基づく地域生活分析から地域福祉システムの構築」 ということになります。 では, 現在, 私が政府や自治体, 民間機関から研究助成を受けて取り組んでいる研究課題を示しておきます。 これらの中から皆さんと相談して, これからのゼミナールで取り組む調査研究の課題を選択していきたいと思います。 
【その1】介護保険制度と地域福祉システムの開発研究
 介護保険施行後約 2年を迎え, 様々な問題が表出してきています。 これらの問題点を改善する調査研究を厚生労働省からの受託研究で現在進行中です。 介護保険制度の運営面やサービス評価, 在宅系サービス拡大の方策などの実証的研究とともに, 保健医療福祉トータルサービスシステムの構築と地域福祉システムの開発に着目した調査研究を行います。 
【その2】介護福祉施設の実習プログラムに関する研究
介護保険制度の実施によって, 高齢者福祉の構造は措置から契約への転換のなかで大きく変化しつつあります。 本研究では, 全国の介護福祉施設のなかからすぐれた経営と高いサービスの質の具現化を実践しているケースを分析し, 現場と大学院が共同して, 社会福祉現場実習のプログラム作成のためのケーススタディの蓄積を図ります。 
【その3】基礎自治体における福祉政策・実践・サービスの評価研究
 厚生科学研究費の助成を受けている本研究は, 基礎自治体の介護保険制度の政策評価をめざしています。 基礎自治体における社会サービスの広域対応型と単独対応型の効果比較分析を行い, それぞれの地域性に即した社会サービス提供システムと地域福祉の実践マネジメントの方法を開発することにあります。 
【その4】居住福祉とコミュニティワークの専門性の開発に関する研究
 介護保険の導入と健康福祉の増進が叫ばれるなかで, 要介護者の地域自立支援や居住福祉のまちづくりに必要なコミュニティワーク (地域援助技術) の専門性を考えます。
 
《最近 5年間のゼミでまとめた調査研究報告書》
  • 平成9年5月 「これからの老人保健福祉計画−現状と課題ー地方自治体における老人保健福祉計画進捗状況調査結果報告書」 (全 164 頁)
  • 平成 10年6月 「介護保険時代を迎えてー社会福祉協議会の改革課題」 (全 167 頁)
  • 平成 11年 7 月「基礎自治体の社会サービス供給システムの実証的研究―公的介護保険への対応」 (全 284 頁)
  • 平成 12年 7 月「地方分権時代における基礎自治体の介護保険と地域福祉システム」
  • 平成 13年 12 月刊行予定 「介護保険居宅サービスと居住環境」
 現在の3年生は, 「地域福祉計画策定過程における住民参加と協働のあり方」 をテーマにして, 静岡県富士川町及び岐阜県小坂町 (予定) で地区住民懇談会や関係機関のヒアリング調査を実施し, それを地域福祉計画の政策, プロジェクト化する方法・技術を学んでいます。 私のゼミでは, 毎年 4年の 7 月ごろまでに調査研究報告書をまとめます。
 
《研究の計画》

 ゼミ運営の年次計画としては, 3年次の前期にテキストを中心に上記の研究課題の背景や今日の地域福祉の体系, コミュニティワーク (調査・計画等) の検討課題を概観します。 そして前期の学習成果をふまえ, 後期には, ゼミで取り組む調査研究課題を設定して, 実際に調査の項目等を設計し, ヒアリング調査法等を用いて調査を実施します。 そして調査結果の報告書作成に取り掛かります。 4年次前期で調査報告書を作成し, それをもってゼミの卒論にかえます。 そして後期では, 就職活動や社会福祉士国家試験等の準備に集中的に取り組んでもらいます。
 
《ゼミ生に期待するもの》

 ゼミ活動では, 実際にある地域を設定して調査活動を行います。 地域福祉や居住福祉問題の実践活動にかかわる現場の実地研究 (フィールドワーク) にも参加したいと思います。 2年間のゼミ活動を通じて, 実際に, 地域福祉実践や政策・まちづくりに役立つコミュニティワークの理論と手法を習得してもらいます。 また, ゼミ生の地域福祉・介護施設実習の指導も行いたいと思います。 したがって, 私のゼミには, 就職や進路希望との関連で選択してください。 最近のゼミ生の就職は, 地方自治体や社会福祉協議会, 病院や施設併設の在宅介護支援センター, 福祉関連の民間企業等で決定しています。 また大学院への進学希望者も積極的に受け入れます。 就職先や進路なども希望票に記入しておいて下さい。

使用テキスト 担当教員からのメッセージ
牧里毎治・野口定久・河合克義編 
  『これからの社会福祉第 6 巻 地域福祉』 (有斐閣, 1995年)
早川和男・武川正吾・野口定久編
  『居住福祉学と人間』 (三五館, 2002年 1 月刊行予定)
 私のゼミでは, すでに先輩からも聞いているように, ゼミ運営上の必要に応じて, 合宿 (主に岐阜飛騨かチッタナポリを使用します) ・コンパ (ゼミ終了後に突然実行することもありますので, 水曜日の夜はアルバイトを入れないようにお願いします) ・スキー (最近はボードやショートスキー派が急増中, 私もショートスキーをやります) ・実地研究ツアー等を実施いたします。 大いに遊び, 大いに学び, 大いに飲みましょう。 私のゼミは, 何よりも体力と好奇心, そしてフットワークが不可欠です。 また, 希望者は大いに自己アピールをして下さい。


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