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302 |
担当教員 |
後 藤 澄 江 |
テーマ |
これからの地域福祉
―望まれる 「21 世紀的家族構造」 への対応― |
著書・論文
研究課題等 |
- 〔最近の業績〕
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『現代家族と福祉』 有信堂, 1997年
『地域社会を舞台とした福祉マンパワー組織づくりと女性労働の展望』文部省科研費報告書, 1996年
『男女共同共同参画基礎調査報告書』 2001年
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〔研究課題〕
- 「地方分権化が進むなかでの広域行政と住民組織」「家族の変容と在宅福祉サービス」
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ゼミ概要 |
〔共有する問題意識〕
私のゼミは, 今日の日本の家族をめぐる現状と問題点を把握するとともに, そうした動向への対応として, 行政や地域社会レベルにおいてどのような新しい取り組みが必要とされるのかを, 若いあなたたちと一緒に考えてみることを目的としています。
家族は, いつの時代にも, 子育ての場として重要な役割を果たしてきたことはいうまでもありません。 衣食住の充足はいうまでもなく, 「人間のパーソナリティの工場」 といわれるように, 家族は子どもの情緒の発達にとっても大きなはたらきを担ってきました。 しかし, 今日, そうした家族の機能に黄信号がともっているともいわれます。 離婚の増加, 単身赴任による父親不在, 情報の蔓延による母親の育児不安といった要因が家族の育児・教育機能を弱体化させていることは明らかです。
また, 今日の家族は高齢者に対してもそのはたらきを大きく変化させています。 高齢者にとって家族は, 情緒充足においてその重要性は依然として高いものの, 介護面においてはこれまでのようには期待できなくなっています。 高齢者は夫婦のみで, あるいはひとりで暮らす割合が高まっているうえに, これまで家族内で高齢者介護を担ってきた女性たちが職場にでるようになったからです。 21 世紀は, こうした状況が一層進むものと考えられます。
このように今日の家族は, 子どもや高齢者といった世話や介護を必要とする人に対するはたらきを弱めています。 このように弱まっている家族のはたらきをサポートしたり補ったりする可能性のひとつとして, 地域社会を舞台とした住民互助型団体あるいは福祉 NPO といった新しい形の福祉活動や地域活動といったものが考えられます。
ところで, 政策レベルにおいては, 「地域福祉」 が注目されています。 地域福祉は, 福祉サービス供給において, 市町村や社会福祉協議会の役割, また, 住民参加のあり方が重要です。 「地域福祉」 といった考え方を実践し内実のあるものにするには, 市町村への福祉財源の委譲の必要性はいうまでもなく, 「広域行政」 や 「市町村合併」 による受皿強化の検討, さらには, これまでの地域社会や家族のしくみの問い直し, 加えて男女のあり方の変革なしには不可能といえます。 こうした問い直しがないままに進行した場合には, 「地域福祉」 政策は, 単に市町村や現場のソーシャルワーカーの負担を増加させるにとどまらざるをえないことは, イギリスの 「コミュニティ・ケア」 政策のこれまでの経過から推し量ることができます。
したがって, 「地域福祉」 政策を射程に入れつつ, その実践の前提としての, 市町村や社会福祉協議会の現状とともに家族や地域社会, そこでの男女の役割関係などについて, 複眼的に把握する力量を身につけたいものです。
〔具体的な進め方〕
学習の具体的な進め方として, 以下のように考えています。
- 〈3年次〉
- テキストや調査報告書にもとづいて, 市町村合併, 家族, 地域社会や男女の役割関係などについて基礎的な学習をする。
- 自主的に課題設定したサブゼミ学習をする。
- ゼミの進行状況によって, 新しい地域活動や福祉活動を展開している市町村, 社会福祉協議会や福祉 NPO などの見学,
ヒアリング調査やアンケート調査をおりまぜる。 また, これらの活動の担当者やリーダーとの交流もおこなう。
- 〈4年次〉
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ゼミ論指導や社会福祉士試験準備等の共同学習を中心に進める。
〔履修上の注意〕
ゼミは単に学習の場にとどまらず, ゼミ員相互に成長を育む場でもあると考えています。
ゼミの一員としての責任が自覚でき, 自発的に協力する学生の参加を望みます。
また, 地域づくりや家族支援の計画作成面および実践技術面での力を身につけ,
地域福祉あるいは家族福祉に関連した領域での仕事につくことを希望している学生の参加を歓迎します。
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使用テキスト |
担当教員からのメッセージ |
後藤澄江 『現代家族と福祉』
有信堂, 1997年 |
お互いの個性を尊重しつつ, 仲間と一緒に楽しんだり苦しんだりできることの幸せを味わってください。 |
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