CODE
208
担当教員
小 木 美代子
テーマ
子どもの豊かな育ちと社会教育
― 福祉, 文化, 教育の三視角から ―
著書・論文
研究課題等
著書 (編著を含む) 『学校五日制でどうなるの』 (学陽書房), 『児童館と学童保育の関係性を問う』 (萌文社), 『子どもの地域生活と社会教育』 (学文社), 『子どもの発達とテレビ』 (童心社), 『映像文化時代の子供達』 (PHP 研究所), 『戦後日本“学校外教育”関係三十年史』 (私学研修福祉会助成出版物), 『子育ち学へのアプローチ』 (エイデル研究所), 他
研究課題 子どもの学校外・地域・家庭の生活, 教育, 文化状況について, 子どもの権利視点から広い視野をもって研究をすすめている。
ゼミ概要
〔内容・方法〕
いじめ, 自殺, 不登校, 家庭内暴力, 非行, 万引きはもとより薬物汚染, 援助交際等も, 子ども・青年のショッキングな事件・問題が相次いでいます。 また, 親による子ども虐待, 戦禍によっても, いつも被害者になっています。 もとより, これらの現象は, 政治・経済の動き, 文明の進歩, 偏差値教育, 地域社会や家庭の崩壊など, いくつもの要因が重なり合い, 複合的に生み出されてきたといえますが, もっとも子どもに近いところでは, 地域における子どもの異年令集団が壊滅的になっていることがあげられます。 子ども・青年たちは, 家庭でも学校でも地域でも, ほんとうに心安まる 「居場所」 や 「人間関係」 を持ち得ていないのです。 子ども・青年たちは家庭, 地域, 学校・園などの幾つもの場で活動し, その総和としてバランスよく成長・発達していく筈なのに, 現実にはやはり, 学校教育, しかも 「偏差値教育」 中心にまわっているのです。 子どもの権利条約が発効し, 土曜日も月2回休みとなり, 家庭や地域に返されたというのに, その手当ては, ほとんどなされていないのが現状です。
小木ゼミでは, 子どもの地域活動に焦点をあてて学習・研究を進めていますが, この分野は, 実践的には豊かな蓄積が数多くあるのに, 理論的には必ずしも深くは積み重ねられてきたとは言い難いので, これを探るのは少々大変ですが, その代わりに新しい発見に驚く楽しさがあります。 と同時に, この分野は〈教育〉のみならず〈福祉〉〈文化〉と交錯しているので幅広く学ぶ必要があり, そのことが知らず知らずのうちに広い視野で柔軟に物事を考える姿勢を養ってくれます。
ゼミの学習としてはまず, 地域や家庭における子どもたちの生活実態調査やルポルタージュ, 新聞記事, 証言などを正しく把握・分析することを通して学校外活動問題の所在を明らかにし, 「第三の教育の場」 であるともいえる 「社会教育」 (特別なジャンルとして 「学校外教育」 という場合もあるが, これは学校教育や家庭教育とならぶ固有の教育機能をもつ領域の教育作用を研究対象としており, それは意図的, 計画的に提供される教育活動であり, 不特定多数の子どもが随時活動する学校外の活動とは一線を画してとらえています) の視点から, 健全な子どもの発達を保障する学校外・地域活動の理論の構築と実践 (サークル活動やボランティア活動, 見学, 関連の研究会・諸集会への参加など) へのアプローチを試みていきます。
やや具体的にいえば, 上記の問題意識に基づいて3年次には, 現在の子どもたちの心身の発達状況を科学的に把握・分析し, それが戦後の政治・経済・教育等の施策, それに対置する国民的規模の運動とどうかかわって生起してきたのかを歴史的に把握し, 子どもの地域活動の保障にまでおよぶ子どもの総合的権利保障の体系について学んでいきます。 そして, これらの基礎的学習の上に立ち, 子どもの学校外活動, とりわけ学校外・地域の子ども組織活動−学童保育, 地域子ども会, 各種少年団, おやこ劇場, 地域・家庭子ども文庫などの青少年の地域組織活動や子育て支援グループの活動に焦点を当て, そのあるべき姿 (内容・方法の理論化) を目指して学習・研究をすすめるとともに, 彼らが活動する拠点としての児童館, 図書館, 公民館, 学童保育所, 少年自然の家, 子ども文化センター, 生涯学習センター, コミュニティセンターなどについてもふれていきます。
続く4年次には, 3年次に発掘された課題意識に基づき, 子どもにかかわる政策の動向−エンゼルプランの動向, 中央教育審議会, 生涯学習審議会, 教育課程審議会等の答申や, 生涯学習局の 「全国子どもプラン」, 学校五日制の完全実施に向けての動き, さらには省庁再編などもにらみながら, 学校外における子どもの地域活動, とりわけ子どもの地域組織活動に焦点をあて, 小木ゼミの OG・OB たちの研究成果も踏まえて, それを継承発展させる方向で, 自主的集団的に論文としてまとめていきます。
〔履修上の注意〕
ゼミ活動は (合宿を含む), 全員が揃わないと円滑に進まないので, 毎週のゼミは欠席をせず, 皆で決めたルールを守ること。
ゼミ活動は, 徹底した個人学習と時間を惜しまないサブゼミ学習が前提となるので, 自覚的にとりくむとともにゼミ員相互の協力関係を望みたい。
常に新聞や子ども関係の雑誌に目を通し, 自己のテーマに沿った記事をコピーし, ストックしていくこと。
常時, 子どもの地域活動や学校五日制にかかわる集会・研究会の情報に目配りし, できるだけ自主的に参加すること。
ゼミ所属決定者は, 年度末テスト終了後頃 (1月下旬・掲示に注意のこと) にミーティングを行ない, グループ毎に自主的に社会教育関係の施設や学校五日制にちなんだ取り組み等の見学を実施し, 春合宿等の中で報告をしてもらう。
希望票の裏面に取得予定の資格名を書いて下さい (主なものを3つくらい)。
使用テキスト
担当教員からのメッセージ
小木ゼミナール編 『増補・合版 戦後“学校外教育”関係資料集』 2000 年
社会教育推進全国協議会編 『社会教育・生涯学習ハンドブック』 〔第6版〕 エイデル研究所, 2000 年
小木ゼミの“社会教育研究”は, 子どもの地域活動を主対象にしていますから, 教育と児童福祉, 文化を総合化させ, フィールドを学外にも求めているので, 大変幅広く学習・研究ができます。 また, OG・OB を含めて, 頑張り屋さんが多いのも特徴です。
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