CODE
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担当教員
長谷川 眞 人
テーマ
子どもの権利擁護と各地での子どもの権利条例の検証
著書・論文
研究課題等
「ぼくたちの15歳」 ミネルヴア書房 (共著)
「子どもの問題ケースブック―児童福祉相談・援助事例数―」 中央法規出版 (編著)
「子どもの生活と援助」 ミネルヴア書房 (編著)
「児童養護施設の子どもたちはいま―過去・現在・未来を語る」 三学出版 (編著)
「子どもの援助と子育て支援―援助の方法と事例研究―」 ミネルヴア書房 (編著)
ゼミ概要
1.各地での子どもの権利条例の検証
子どもには 「安心して生きる権利」 や 「自分で決める権利」 があるとうたう 「子どもの権利に関する条例」 が2000年4月1日から川崎市で施行されました。 条例づくりには子どもたちも参加し、権利の中身や保障の仕方を全国で初めて総合的に定めた。 条例を制定して 「子どもの権利」 を具体化しようとする動きは、いくつかの自治体で出てきている。 例えば富山県小杉町も昨年、条例策定に向け、町民による 「ワーキンググループ」 を設けた。 広報紙では、子どもの権利条約の条文を、一つずつ解説していく連載企画も始めた。 大阪府箕面市は1999年に 「子ども条例」 を施行した。 「まちづくり条例」 という位置づけだが、子どもの 「幸福を追求する権利」 や 「成長に応じて、表現の自由と意見を表明する権利」 が盛り込まれた。 条例に基づく行動プランも4月に始まった。 「子どもの意見を聴くワークショップの開催」 などに取り組むとしている。 東京都世田谷区は昨年度、 「男女共同参画推進室」 などを 「子ども・男女共同参加課」 に改組した。 子どもに関する条例作りも検討している。
岐阜県多治見市は今年の1月、有識者や教育関係、市民の代表らでつくる 「子どもの権利検討委員会」 を設置した。 「子どもの権利や自由を尊重し、子どもに対する援助を促進すること」 が目的で、最終的には条例作りを目指して現在ヒアリングや子ども参加のセミナーを開催してきている。 これら各地の条例作りの比較検証を私が関わっている岐阜県多治見市の 「子どもの権利条例の制定」 に向けての取り組みを通してゼミ生と一緒に検証してみたい。
2.児童養護施設における権利擁護の実態と課題を徹底検証
児童福祉法の解説書 (養護施設運営要領) では、 「保護者のない児童」 とは、父母に死別した児童またはこれに準ずる父母の生死不明の児童、父母の遺棄されている児童、父母が海外にある児童、父母が長期にわたり精神または身体に障害を有する児童、父母が長期にわたり拘禁されている児童、片親があってもこれらと同じ事情にある児童であって、児童を現に監護する者のない児童を指すとしている。
また 「虐待されている児童その他環境養護を要する児童」 とは、保護者はあるが、いわゆる虐待されている児童、いちじるしく児童の福祉を阻害する行為を受けている児童ならびに保護者の無知、無関心、放任等のため、その他環境上の原因により必要な衣食住および監護を受けることができない児童をいう、とされている。
さらに今回の児童福祉法改正で 「自立支援」 の概念を付加した内容としては、児童が入所している施設が、児童相談所の処遇指針を受けて、児童及び保護者の意向と関係機関の意見を踏まえて作成する、児童及びその家庭援助の計画であるとしている。 すなわち児童が社会人として生活していくための総合的な生活力を育てることと位置づけている。
日本における子どもの権利擁護の取り組みは、国連における子どもの権利条約が採択された前後から、児童福祉施設職員や児童福祉研究者を中心として権利擁護の取り組みが行われてきている。 特に各地の施設協議会や自治体や各施設が取り組み始めるきっかけを与えたのは、海外での権利擁護の取り組み実践の成果の影響もあるが、1979年の国際児童年の記念事業で行われた 「親権と子どもの人権」 のシンポジウムを契機に 「親権制度改善のための民法および児童福祉法の改正」 の要望書を受けて日本弁護士連合会から 「親権をめぐる法的諸問題と提言」 が出されたことが、施設関係者に法的問題への積極的な取り組みの必要性を示した。
ゼミにおいては、児童虐待を少なくするために今何をしなければならないか。 あるいは子どもの人権が侵害されないためにどのようなことをするべきか。 また子どもの権利擁護を守るためにどんなことをなすべきかを資料を集め、実態に接する機会を多く持ちあらゆる面から徹底検証したい。
3.児童養護施設卒園生の追跡調査の検証
施設を卒園した児童たちがその後どんな生活をしているのか、施設で育ったことは自分にとって何だったのか、現在の施設への注文、職員への注文等を卒園生を通して追跡調査を現在の3年生の調査を引き継ぎ、あらためて児童養護施設のあり方を検証したいと考えている。
そのためには、できるだけ多くの現場へ出かけ、現場職員や子どもや親、卒園生を含めての話し合いを重視したい。 さらに児童福祉施設関係の自主的研究会にも積極的に参加していきます。
〔このゼミを履修しようとする人は〕
第1に子どもと接することが好きな人。
第2に子ども権利擁護や児童養護施設に興味を持っている人。
第3に児童福祉施設や自主的研究会への参加ができる人。
第4に将来児童福祉施設に就職をしたいと希望している人。
第5に8月に3泊4日で行う場所未定の小中学生のキャンプのボランティアとして参加できる人 (この行事は強制はしない)
使用テキスト
担当教員からのメッセージ
「児童養護施設の子どもたちはいま―過去・現在・未来を語る―」 三学出版他についてはその都度紹介する。
専任教員でないため、学生からの相談はメールあるいはファックス、電話等が多くなることと思われます。 できるだけ今現場はどうなっているかを検証するために、平均2〜3か月に1回程度に現場訪問と自主的研究会へ出かけられる人を優先。
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