CODE
124
担当教員
伊勢田 亮
テーマ
障害児の教育と文化活動
著書・論文
研究課題等
〔著書〕
『新訂教育課程をつくる』 日本文化科学社, 1999年
『障害児の演劇教育研究』 宣協社, 1995年
〔論文〕
「障害児の演劇的表現と認識・イメージの形成」 日本福祉大学研究紀要第99号, 1998年
〔研究課題〕
障害児の遊びに関する研究, 障害児の演劇教育に関する研究
ゼミ概要
障害児教育においては, 戦後, 文化活動が盛んに行われてきた。 毎年度開催される学習発表会 (学芸会ともいう) に向けては, 音楽や演劇, 舞踏などが取り上げられ, 長期の単元を組織して学習が行われることが多い。 また, 教育課程に位置づけられた造形活動, 音楽活動, 演劇活動の成果が, 文化祭などの行事において発表されることも少なくない。 障害がある子どもたちはこうした文化活動の中で表情を和らげ, 意欲を示し, はつらつと活動する姿を見せてくれる。
一方, 障害者施設においては, 一日の生活の大半が労働的作業活動に費やされることが多かったが, 近年, QOL (Quality of Life) との関連で文化活動が取り入れられるようになってきている。 ある施設においてはクラブ活動として絵画や音楽, 舞踏, 演劇, 陶芸, 茶道などの多様な活動を行い, また, 別な施設においては地域の人々と連携しながら音楽や和太鼓, 朗読などの祭典を開催している。 いずれにしても, こうした文化活動における障害者は, 労働的作業活動では見られない表情と意欲を示し, 生き生きとした活動を展開する。
障害児・者の文化活動は, ノーマライゼーションの理念の浸透とともに, 1982 (昭和57) 年に国連において採択された 『障害者に関する行動計画』 を契機とし, 飛躍的に拡充してきている。 しかし, 行動計画において障害児・者の 「創造的, 芸術的潜在能力を生かす」 とした理念は, 学校においても施設においても十分に浸透しているとはいい難く, むしろその量的な拡大を背景として本質的な問題の発生も少なくない。 そのため, 本来的に文化活動が内在している機能が必ずしも障害児・者の生活構築と発達保障に結びついていないように思われる。
以上の問題認識から出発し, 本ゼミナールにおいては, 次の諸点から障害児の教育と文化活動の関係について探求する。
文化活動はどのようなものか, その概念や内容, 教育的役割を解明する。
文化活動が障害児の生活・障害・発達との関連において, どのような機能を発揮し得るのか, その内的な構造を解明する。
学校や施設において文化活動がどのように実践されているか, フィールドワークをとおしながらその実態を探り, 今後あるべき姿を解明する。
本ゼミナールにおいては, こうした難問に対して3〜4年次の2年間で取り組んでいく。 その計画のモデルは次の通りである。
《3年次》
4〜9月
基本文献 『知的障害者の文化活動』 (米山岳廣著) を読む 新3年生, 新4年生合同合宿 (2000年春休み, 2泊3日で実施) を行う
基本文献に関する討論
『子どもに文化を手渡すとき』 (全障研埼玉支部麦の会編) を読んで討論する
10〜12月 養護学校や施設におけるフィールドワークを行い, 調査結果をまとめる
1〜3月 卒業研究のテーマの決定, 研究計画の構想
《4年次》
4〜6月 先行研究, 関連文献の調査, フィールドワークなど
7〜9月 資料, 文献, 調査結果などの整理・分析
10〜12月 卒業論文執筆
〔履修上の注意〕
当然のことではあるが, 本ゼミナールに参加しようとする学生は, 障害児・者に関心を持っていることが第一条件になる。 また, 第二条件としては文化活動をキー・ワードとしながら, 障害児・者の生活・障害・発達を考えようとする意欲が高いことである。 第三条件としては, 障害児教育に強い関心を持ち, これまで集積してきた学習の成果を一層深めようとする指向性があることである。 そして, 第四条件としてできれば養護学校教員になりたいと考えていることである。
いずれにしても,
担当教員 の私としては, 主体的, 能動的に参加できる学生を待ち望んでいる。 周知のとおりゼミナールの運営は追求課題にそって, 時間的制約を超越して行わなければならず, 学生の主体性や能動性は不可欠の条件である。 サブゼミ, プロゼミ, ゼミ運営委員会の活動など, 組織的な運営を志すつもりであるので, 一定の決意を持って臨んで欲しいと希っている。
使用テキスト
担当教員からのメッセージ
米山岳廣 『知的障害者の文化活動』 文化書房博文社, 1998年
(各自で用意する)
全障研埼玉支部麦の会 『子どもに文化を手渡すとき』 群青社, 1998年(各自で用意する)
障害児教育の分野には, 未解決の問題が数多く残されており, 私たちに追究できる余地を与えてくれている。 文化活動もその一つであり, それだけに多くの成果が期待される。
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