CODE 122 担当教員 亀 谷 和 史
テーマ 子どもの発達と 「子育て・教育支援」 の課題
― 乳幼児期から思春期までを見通して ―
著書・論文
研究課題等
著書
『年齢別保育実践:幼稚園編・5歳児  知りたい意欲を育ちのバネに』 (共著) 労働旬報社,1993年, 『ピアジェ・ワロン論争―発達するとはどういうことか―』 (共著) ミネルヴァ書房,1996年, 『新教職課程シリーズ第2巻 発達と教育』 (分担執筆) エイデル研究所,1997年, その他
論文
「H.ワロンの発達 『理論』 の原点をさぐる―〈機能〉把握における認識論的立場を中心に―」 (北海道大学第大学院教育学研究科・教育臨床心理学研究グループ 『教育臨床心理学研究紀要』 第2号) ,2001年, 「子ども・青年の学習と 『教育課程』 の今日的課題」 (日本福祉大学研究紀要 『現代と文化』 第103号,2000年) , その他
研究課題
H.ワロンの教育思想・発達理論研究, 教育学的発達研究

ゼミ概要
 現代日本の子どもたちの“育ち”に関しては, 以前にも増して様々な問題が起こっています。 そして, 子育てと保育・教育の現実は, 依然として深刻な事態が続いています。 乳幼児期では, 保育園や幼稚園の現場でも, すぐにパニックをおこす子や 「キレる」 子どもなど, 以前には見られなかった“育ちのおかしさ”や「発達の歪み」が指摘されてきています。 家族が地域から孤立化し, 母親の育児不安が一般化し, それによる子どもの虐待も増加しています。 他方, 少年期から思春期にかけても, 学校現場で, 小学校低学年からのいわゆる 「学級崩壊」 現象, 「普通の子」 が突発的に 「キレる」 等の 「新しい荒れ」 の現象, 凶悪な少年事件の続発, などが生じています。 いじめ, 不登校・引きこもりなども依然として減少に転じていません。
 子どもたちの発達のどの時期を見ても, 様々な“育ちのおかしさ”が指摘できます。 それは, 子どもの視点から見れば, 今の大人社会への異議申し立てであり, 彼らなりの切実な自己表現であり, 素朴な訴えであるととらえることもできます。 これらの背景には, 日本の社会全体が, 経済的には 「豊か」 であったとしても, 効率優先の歪んだ競争的価値観や意識があいも変わらず支配的であり, 「子育て支援」 政策や 「教育支援」 政策が十分に行われていないことが, 根本的な要因として指摘できるでしょう。 また, 様々な面で, 日本の教育制度が 「極度に競争的」 であることは, 国連子どもの権利委員会(1998年)からも指摘され, その是正が勧告されています。
 本来, 子育てや保育・教育の営みは, 子どもたちの 「人格の全面的な発達」 (世界人権宣言第26条)=自己実現を, 一人ひとりの願いや要求に応じて, 可能な限り支援し, 保障するものです。 それは, 社会のシステムとして, 乳幼児期から思春期の各時期をとおして, その発達を豊かに保障するものとして, 絶えず追求されなければならないはずのことがらです。 同時に, 私たち先行する大人世代は, 親として, 保育者として, または教師として, 子どもたち一人ひとりと信頼関係を築きながら, どのようにコミュニケーションをとり, その成長・発達を援助していくか, 追求していかなければならないでしょう。 それは, 変化の激しい現代社会の中で, たえず子どもたちの声に耳を傾け, 受けとめながら, 追求していかなければならない課題でもあるでしょう。
 このゼミでは, 以上のような問題関心を共有しながら, まず, (1)今日の子どもに生じている発達上の問題や実態を見ていきます。 あわせて乳幼児期からの発達のみちすじについても学んでいきます。 次に, その際, 乳幼児期は乳幼児期だけの問題として把握するのではなく, 少年期・思春期までの発達を見通しながら, (2)今の子どもたちの“心のうち”の何が問題であり, どのような対応や対処の仕方があるのか, 親の立場から, 保育者・教師の立場から, それぞれ学んでいきます。 そしてさらに, (3)今日のそうした対応や対処が十分に実現可能となるような 「子育て・教育支援」 の制度・システムの課題に迫ります。 今日の子どもの様々な問題は, 乳幼児期から思春期を見通した, 統一的な 「子育て・教育支援」 の改革が展望されなければならないでしょう。
 ゼミの学習の大まかな流れとしては, 3年生の前期は, 共通のテキストを素材に, 上記の(1)と(2)を中心に学び, ゼミ生の共通認識を深めていきます。 3年生後期には, 前期で学習した内容をふまえ, (3)の視野に入れつつ, グループ別または個人で, より専門的に研究課題をしぼり, 順に発表を行っていきます。 文献学習や事例研究, あるいはフィールドワークをグループまたは各人で取り組んでいきます。 研究テーマによっては, 施設見学 (保育園, 学童保育所, 学校等) にも行きます。 また, 適宜, TVで放映される (された) 子育て・教育問題に関する番組の録画ビデオを見て討論を行なったりもします。 その成果を学年末の 『ゼミ論集』 にまとめます。 4年次には, 3年次に 『ゼミ論集』 にまとめた研究課題を, さらに各人で発展させて 「卒業研究」 の執筆に取り組みます。

[履修上の注意]
  1. ゼミ登録者が決定した1月下旬〜2月上旬に, 顔合わせ会を兼ねたオリエンテーションを行いますので, 掲示に注意して必ず参加してください。
  2. 毎年, 3年次に, 4月始めの新歓コンパ合宿(フリッパーで), 夏合宿(9月中旬), 春合宿(2月下旬〜3月上旬)の3回, ゼミ合宿を行います。 原則全員参加なので, 日程, 費用等の心づもりをしておいてください。
  3. また4年次では, 毎年, 「卒業研究」 に向けて中間報告発表会の合宿を10月ごろに行ないます。
  4. 保育者や教職をめざす人はもちろんですが, そうでなくても, 今日の子育て問題や教育問題, 児童福祉に関心のある人は, 大歓迎です。
  5. ゼミの主役は<あなた>です。 自分自身で課題を見つけ, 主体的かつ積極的にゼミに参加してくれる人を待っています。

使用テキスト 担当教員からのメッセージ
 子育て・保育・教育に関心のある人以外に, 自分自身の成長・発達について見つめ直してみたい人, 子どもの成長・発達の過程を深く学びたい人なども歓迎します。 仲間同士で, 何でも気軽で自由に, かつ 「マジ」 で話し合えるようなゼミをつくっていきましょう。 担当教員からのメッセージ
 ゼミの始めに, 各人・グループの研究関心・テーマに応じて指示します。
 ゼミの始めに,各人・グループの研究関心・テーマに応じて指示します。


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