CODE 119 担当教員 小 松 理佐子
テーマ 住民参加型地域福祉システムの再構築に関する研究
著書・論文
研究課題等
『社会福祉21世紀のパラダイムT―政策と理論』 (共著) 誠信書房, 1998年
『転換期の福祉政策』 (共著) ミネルヴァ書房, 1994年
「介護保険に対応する社会福祉協議会の運営をめぐる課題」 (立教大学社会福祉研究所 『立教 社会福祉18・19合併号』 ) 2000年
研究課題
「利用者サイドからみた社会福祉供給体制とそこでの利用支援のあり方」 「地域福祉実践における社会福祉専門職と住民の協働関係」

ゼミ概要
[内容・方法]

 ゼミの具体的な内容や方法については, ゼミに参加されるみなさんと相談をして決めていきたいと考えていますので, ここでは, 私がどのような趣旨でこのテーマを設定したかについて説明をしたいと思います。

 地域福祉とは何かという定義については, 論者によってさまざまでありますが, それは住民主体で進められるものであるということについては共通の認識となっているといえます。 そのことに加えて近年, 地方分権の推進に伴って地方自治の重要性が指摘されていることや, 社会福祉法の改正によって市町村の策定する地域福祉計画に関する記述が付け加えられたことなど, さまざまなレベルでの動向を背景にして, 住民の参加による福祉システムの再構築が求められています。
 この課題に取り組むためには, 行政のあり方自体を変えていく必要があることはもちろんですが, 住民の側の意識や態度を変えていくことも必要となっています。 日本では, 日本特有の制度として民生委員児童委員をはじめとする行政委嘱型のボランティアを用意し, 地域福祉の担い手として位置づけるという形が長くつづいてきました。 そうしたなかで育まれてきた地域社会では, 自発的に地域活動に参加していく住民を育てることが容易ではないという面をもっています。
 しかしそうした悲観的な状況ばかりではなく, 一方には自発的に福祉の課題に取り組んでいるボランティア活動やNPO活動に関わってくる人々が増えてきていることも事実です。 今求められているのは, このように自発的に参加する人を増やしていくことと同時に, 従来の地域活動に参加している人々とボランティア活動等に参加している人々を結びつけること, ししてそうした住民の力をもとにして新しい地域福祉システムをつくりあげて, さらに市町村の政策に結び付けていくことであるといえます。
 このような視点から私が現在関心をもっていることを, 以下に列挙しておきたいと思います。
  1. 従来からある住民組織 (町内会・自治会など) や住民によって担われている福祉委員や保健委員などの役割を活かしながら, 福祉課題に取り組むスタイルにどう変えていくか。
  2. 行政から委嘱や委任されて活動している民生委員児童委員などを, 本当の意味で住民の立場に立った活動に変えていくにはどうしたらよいか。
  3. 市町村レベルでの活動を支える力となる小地域の組織化を進めるためには, 地区社会福祉協議会はもとより, 公民館や保育所などの福祉施設をどのように活用していくのか。
  4. 市町村社会福祉協議会によってこれまで行われてきた活動をふりかえりながら, 社会福祉協議会の活動をどのように改善していくか。 そして行政との関係はどのようにあるべきなのか。
  5. 増加しているボランティアやNPOとての活動をしている人々と, 旧来の地域活動を担ってきた人々の協働をいかに進めるか。

おおまかなゼミの進め方としては, 3年次の前期には文献や調査報告書等を読みながら基礎的な学習を進めます。 後期は, 調査の企画・実施に取り組み, 4年次には調査報告書をまとめる作業を行います。

[履修上の注意]

 上記のテーマについて関心をもち, 積極的に取り組もうとする方の参加を歓迎します。
 ゼミは調査を行うことを中心においていますので, 特に3年生のゼミではグループで取り組む作業が多くなります。 他の人との共同作業を苦痛に感じる方には, 向かないゼミかもしれません。

使用テキスト 担当教員からのメッセージ
授業を進めていくなかで随時指示する。  みなさんと一緒に地域福祉の実態を直に見て, そこから議論していくプロセスを大切にしたいと思っています。 真剣に学習しようという意欲のある方, お待ちしています。


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