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113 |
担当教員 |
馬 場 康 彦 |
テーマ |
高齢者の生活問題研究 |
著書・論文
研究課題等 |
- 〔著書〕
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(単著) 『現代生活経済論』 ミネルヴァ書房 1997年,
(共著) 『在宅介護の費用問題』 中央法規出版 1996年,
(共著) 『生活構造の理論』 大蔵省印刷局 1995年,
(共著) 『新版現代の社会福祉』 鰍ンらい 1998年,
(共著) 「パネルデータからみた現代女性」 東洋経済新報社 1999年
- 〔研究課題〕
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生活問題研究, 家計構造の国際比較研究, 在宅介護費用研究, 母子世帯の国際比較研究 (国際共同研究) , 消費生活に関するパネル調査。
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ゼミ概要 |
現代の高齢者の生活問題と一口にいってもそれが包括している領域は非常に広範囲にわたるものである。 福祉の原点といわれる貧困問題をはじめとして, 所得水準, 所得再分配, 消費水準, 消費構造, 家族のライフスタイル, 家族関係, 等, 生活の水準, 生活の構造, 生活の様式, 生活の関係等にかかわる諸問題すべてをその領域に含んでいる。
しかしながらここでは高齢者の生活一般をその研究の対象とするのではなく, 福祉との関係において, 生活矛盾, 生活問題を取り上げそれを対象とするのである。
生活矛盾や生活問題を取り扱う際に, それを引き起こしている本質=基礎である経済的視角から, すなわち 「お金」 の視点から問題をみていく。 さらにそれを社会システム論的な方法を用いて, 問題を生起させているメカニズムを解明しそのメカニズムをどのように変革または修正していくのかということについて検討していきたいと考えている。
我々日本人の生活のレベルは国際的にみても高いところに位置しているが, それにもかかわらず実際に日本で生活しているものにとっては, 「豊かさ」 や 「ゆとり」 といったものを感じることは難しい。 これは, 生産力やそれに規定された社会的欲望が絶えず上昇しており, この上昇に規定されて存在している 「社会的必要生活標準」 = 「人並みの生活」 が1つの社会的な強制力として世帯=家族に対して作用しているからである。 この 「生活標準化」 の作用が現代生活を貫いている基本法則といえる。 今までいわれてきたいわゆる古典的貧困すなわち所得水準の絶対的な低さからもたらされる絶対的貧困とは異なる現代的な新しい貧困は, この 「生活標準化」 の法則を理解して始めて把握可能となる。 すなわち 「生活標準」 が生産力の上昇や企業のマーケティングによって絶え間なく上昇しているために人並みの生活に追いつこうと人々は絶えずこの 「標準」 を追いかけることになる。 その結果としてこの 「生活標準」 から脱落した世帯は, やがて社会的にも個人的にも 「貧困」 の烙印を押されることになる。 しかし客観的にみればその 「貧困」 の烙印を押された世帯でも, 以前と比較すれば生活のレベルは遥かに上昇しているのである。
また社会全体のシステムがこのような 「生活標準」 を前提として組み立てられているので 「標準」 から脱落すると生活していくこと自体が困難になる場合がある。 例えば電話, エアコン, 電子レンジ, テレビ, 車等を所有していないことによる生活困難である。 以前, 電話やエアコンを所有しているからとの理由で生活保護を打ち切るといわれエアコンを強制的に取り外された高齢者が脱水症状で病院にかつぎ込まれた事件が新聞に載っていたが, これは役所の 「生活標準」 に対する無理解から生じた時代錯誤的な悲劇といえる。
以上1つの例として現代的貧困の問題を取り上げてみたが, このような問題を各人の興味や関心によって取り上げ, 理論的な勉強をしていくと同時に, 実態調査の手法, 統計データの解析法, 論文の書き方等についても基礎的な事項に関しては, マスターできるようにしたいと考えている。 |
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使用テキスト |
担当教員からのメッセージ |
馬場康彦 『現代生活経済論』 ミネルヴァ書房 1997年 |
生活問題に関心があり, やる気のある者は, 学問のおもしろさを共に体験してみよう。 |
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