CODE 106 担当教員 烏 野   猛
テーマ 法的視点から見た社会福祉の特徴と争点
―社会福祉をめぐる最近の判例から―
著書・論文
研究課題等
〔共著〕
『講座社会保障法』 6巻 「社会保障関連争訟の意義と展望」 法律文化社, 2001年。
〔論文〕
「最近の社会保障・社会福祉裁判にみられる特徴と争点―福祉サービスをめぐる争訟を手がかりとして―」 滋賀文化短期大学研究紀要第11号, 2002年。
〔論文〕
「社会福祉における公私責任―老親扶養をめぐる家族責任を素材として―」 滋賀文化短期大学研究紀要第10号, 2001年。

ゼミ概要
 最近の社会福祉の動向をみると, 「社会福祉基礎構造改革」 の流れを受けて, 従来の税金を財源とした 「措置制度」 から, 「契約制度」 に移行しつつある。 こうした流れについての是非をめぐっては, 学生である皆さんもいろいろと考えるところがあるだろう。 しかし, どちらにしても, 介護保険制度の誕生をはじめとして, 現実的に福祉の契約化が進んでいる状況のなか, 国民の生活を守る上でも契約の手続や, また契約の内容について熟知しておく必要がある。 そうなると, 社会福祉のキーワードである 「思いやり」 や 「受容」 といった概念だけではなく, 法的な視点からの分析が必要不可欠なものとなるだろう。
 このようなことから, ゼミナールでは, 社会福祉のそれぞれの領域についての問題を整理しつつ, 法的な課題を分析するものである。 例えば, 各自の問題関心から, 高齢者や児童, 障害者や政策分野についての法的な争点を洗い出す作業を行う。
 具体的な例をあげると, 高齢者分野に興味のある学生なら, 介護保険制度をめぐる問題を法的に分析したり, 成年後見制度や権利擁護, オンブズマンのあり方から, 国民の権利を保障するための仕組みや手続を分析することや, 家族介護をしている家族の責任についてなども分析可能である。 また児童の分野では, 保育所などにおける乳児の突然死を手がかりに, 保育所や職員の責任についてを学ぶこともできるし, さらに児童虐待などを争点にして, 子どもの権利や虐待をしている保護者の支援をどう行うのかも学ぶことができる。 さらに障害者分野では, 出産した子どもに障害が残った場合の, 説明義務を負う医師の責任や, 障害者が事故にあった場合の損害賠償請求の矛盾なども学べることもできる。 くわえて生活保護の分野では, 現在の保護行政を整理した上で, 生活保護法の運用や解釈, 訴訟に至るまでを学ぶことができる。
 とりわけ, 社会福祉における責任論については, 家族を中心とした私的責任と, 行政をも含めた国的責任との関係を, 個別な事例のなかから分析するものである。
 研究のテーマが, 「法的視点から見た社会福祉の特徴と争点」 というものであるが, 幅広い領域から 「社会福祉」 や 「家族」 を分析するものである。 しかし, 近い将来ソーシャルワーカーとなる学生の皆さんにとっては, 法的分析の視点を養いながらも, 援助者として 「よりよい支援」 につなげる姿勢を望みたい。
 前期の進め方については, 各自の問題関心を交換しながら, 社会福祉の問題点を整理し, 法的な分析の視点を養うことを目的としている。 そして個別に関心分野を整理した上で, 学生からの報告会を行いながら, ゼミナールを進めるものである。
 後期の進め方については, 前期の進行状況を踏まえ, 学生の関心や希望を考慮に入れて, 前期末に決定する。
 ゼミナールとして統一的な形態での実習は行わないが, 機会に恵まれるなら福祉関連の裁判を傍聴するなかで, 福祉と法律の接点を導き出したい。

使用テキスト 担当教員からのメッセージ
前期のはじめで, 使用テキストを決定したいと思います。  学生生活の楽しい思いでとして残るような, 活発で楽しいゼミにしたいと思っています。 ゼミ活動への積極的な参加を期待します。 共に頑張りましょう。


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